真冬の災害対策、できていますか? 防災ニュース

2024年1月22日

<1月22日>元日の夕方に能登半島を襲った地震・津波・火災から3週間が経過しました。いまだ全容を総括できる状況にはなく、沿岸部で多発した土砂災害や降雪に復旧作業も阻まれる中、被災者は、厳しい冬の寒さもあり過酷な生活が強いられています。20日は二十四節気の大寒、一年で最も寒さが厳しくなるころです。北陸地方では氷点下になる冷え込みの日が多くなり、断水・停電の続く毎日、助かったはずの命が失われる災害関連死が増えないかと心配です。

内閣府が19日にまとめた被害報によると、現在は次のような状況が確認されています。
・地震:最大震度7(志賀町) 1/1 16:06以降、震度1以上を観測した地震は1457回
・火災:16件(うち石油コンビナート等特別防災区域内1件)
・人的被害:死者232名、重軽傷者1,019名 ※確認中いまだ多数
・銃火被害:全半壊、一部損壊、床上・床下浸水等 10,912棟 ※確認中いまだ多数
・避難状況:避難所455箇所、避難者17,287名
・ライフライン:断水約50,190戸、停電約7,500戸、通信 固定約890回線ほか一部エリアに支障
・通行止:高速道路1区間、直轄国道1区間、補助国道24区間、県道72区間
・鉄道:運転見合わせ2路線(のと鉄道は被害大きく運転再開の見込みなし)
この状況に対し、政府は非常災害対策本部を設置し、これまでに13回の本部会議を開催して被災状況と対応について検討しています。これまでに、災害救助法(1日)、被災者生活再建支援法(6日~18日)を適用し、11日には特定非常災害と激甚災害(地域を限定しない「本激」)の指定を行い、国や県が復旧を代行できる体制を整えるなど、支援を強化しています。

地震災害は、壊滅的な被害を受けたところへ関心が集中しがちですが、その周辺には、そこまでの被害ではなかったものの、風評被害で経済的に大きな困難を抱える地域があります。これからは、緊急的な対応と同時に、復興に向けて動き出そうとする被災地を、どのように支援していけるのか、地域ごとの状況をしっかり捉えながらの関わり方が問われてきます。

特に、日本海側で発生したこの季節の災害は、積雪に阻まれ春まで本格的な身動きができません。冬の寒さの中では次のような事態が起きやすく、避難者にとっても災害対応従事者にとっても過酷な環境となります。
・低体温症
・凍傷
・感染症拡大
・心臓疾患、脳卒中、リウマチなどの既往症の悪化
・脱水
・喘息、気管支炎
・体温の低下による思考力の低下

みなさんは、こうした冬の厳しさを想定した災害への備えは、できているでしょうか。1年の中で寒暖や乾湿が大きく変化する日本は、それだけ自然の表情が豊かであるとはいうものの、一方で、災害時にはこの気候の変化の大きさが対処を難しくします。災害対策は、こうした気候の違いを考慮して立てていきましょう。どの季節でも必要な基本的要素を「通年」とし、気温と乾湿の特徴をとらえた「冬季」「夏季」のオプションをセットにした備えが必要です。冬季は特に、次のような寒さを凌ぐ準備を手厚くし、すぐに使えるようにしておきましょう。
・防寒具(ジャンバー類、帽子、手袋など)
・高機能下着
・毛布、寝袋、エアーマット、ダンボールなど
・使い捨てカイロ
・カセットコンロ
・電気を使わない暖房器(転倒時に自動消化する機能のついた輻射式灯油ストーブなど)

特に、積極的に活用したいのがカセットコンロ・ボンベです。温かいものを食べるたり飲んだりすることで体の中から温まります。また、ボンベを装着するタイプのミニ暖房機や、非常用発電機などもあり、多様な活用法が考えられます。東京ガスの実験調査によると、4人家族が1日3食カセットコンロを使って調理した場合、1週間に必要となる量は約5本としています。その他、お湯をわかしたり暖を取ったりするのに必要な量も加味して備えておきましょう。
厳しい寒さが続きます。操作チェックを兼ね、カセットコンロで鍋や鉄板焼など、家族で楽しみながら冬視点での備蓄の見直しを図るのもおすすめです。

防災ログ事務局:南部優子


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