2024年問題はBCPを考える好機 防災ニュース

2024年5月1日

<4月1日投稿>長時間労働の是正を目指した働き方改革の一環で、2019年から多くの業種に対し時間外労働の上限が設けられました。このうち、運送業・建設業と医師については5年間の準備期間が適用されていたのですが、2024年の4月1日からこれらについても上限が適用されるようになりました。いわゆる「2024年問題」です。

労働者の視点にたてば長時間残業が改善される期待がもてる一方で「問題」とされているのは、労働時間の減少によって生じる物流の停滞や交通機関の利便性の悪化、地域医療への悪影響など、単なる運送・建設・医療業界の問題を超えて社会全体へ大きな影響が生じるとされているからです。

1人あたりの労働時間が減れば、その分別の人材の確保が必要になります。しかし現実的には人を増やすことは容易ではありません。少子高齢化で労働生産人口は減少の一途をたどり、どの業界でも人手不足は深刻です。労働者側にしても、残業代を含んだ手取り収入が常体化していれば給料を減らされてしまう危機感から今より有利な条件への転職が増えるなど、これまでの条件では採用が難しくなってしまうかもしれません。人材確保のために賃上げすれば価格への転嫁も避けられないでしょう。

圧倒的に不足する労働力が避けられないなかで経営を維持していかなければならない2024年問題。これを乗り切るには、リアルタイムでのリソース管理とタイミングを外さない適材適量の配置、国外からの採用や人以外の労働力の強化が不可欠となります。特にAI解析やロボットの導入など、ICTシステムの導入による業務の効率化・自動化は、人の労働負担を軽減し、時間短縮に大きく貢献するはずです。

実は、こうした「人のリソースが圧倒的に不足したときの体制」は、BCP(Business Continuity Plan)の考え方と似ているところが多くあります。BCPは突発的な事象により極端にリソース不足になったとき、何を優先して事業を維持させるかを考え、日頃から体制を整えて備える計画です。
日常の業務のなかで無駄のないリソース配置と臨時の状況にも耐えられる代替システムを構築することにより、大規模災害などの発生で極端なリソース不足に陥ったときでも瞬時に判断して行動できる対応力が身についていきます。
2024年問題を単なる経済課題と傍観せず、BCPも含めた企業体質改善の好機と捉えて社内全体の見直しを図ることを、強くおすすめします。

防災ログ事務局:南部優子


関連ニュース