被災を経験した市町からのメッセージを聴こう|第19回水害サミット開催 防災ニュース
2024年7月9日
<7月9日投稿>全国の水害を経験した市町村が一堂に会する「水害サミット」が開催されました。今年で第19回となります。水害対策に取り組む22市町と国土交通省が参加し、「公共と民間の共創で取組む流域治水」と「水災害リスクを自分事として捉え、主体的な避難行動を促す情報」をテーマに意見交換を行いました。
水害サミットは、全国の大きな水害経験のある市町村長が、体験や教訓の意見交換を行い、全国に防災・減災に関する情報発信する場として、2005(平成17)年から年1回開催されています。また、これまでにも甚大な被害を生じさせた水害のたびに提言を発表しています。
今回のテーマとなった流域治水は、気候変動の影響により激甚化・頻発化する自然災害に対し、流域全体を俯瞰的にとらえ、あらゆる関係者が協働して治水対策に取り組む考え方で、近年の水防の主流となっています。
流域治水は、堤防の整備、ダムの建設・再生などのハード対策とともに、集水域(雨水が河川に流入する地域)から氾濫域(河川等の氾濫により浸水が想定される地域)にわたる流域に関わるあらゆる関係者が協働して水災害対策を行う考え方です。治水計画を、気候変動による降雨量の増加などを考慮したものに見直したうえで、集水域、河川区域、氾濫域を含めた全体を一つの流域として捉え、地域の特性を踏まえて対策を打ちます。対策は、①氾濫防止・減少、②被害対象の減少、③被災想定地域の被害軽減・早期復旧・復興の3つの方向から考え、ハード・ソフト一体で多層的に進めます。
今回の水害サミットのテーマでも、各水系において、ハード・ソフトが一体となった事前防災対策を推進し、公民が連携して取り組む際の課題について話し合いがなされました。また、各機関の防災対策に加え、最終的に災害から生命を守るのは一人ひとりの意識を向上させることだとして、主体的な避難行動をとるためにできることは何かについての意見交換も行われました。
公式ホームページには、災害発生時、災害復旧時、平常時と3つの段階に分けて水害対応のノウハウが掲載されているほか、災害時に組織のトップが心得ておくべき事項が示されています。自治体に限らず組織として重要な判断・行動のポイントが入っています。ぜひ参考にしてください。
<災害時にトップがなすべきこと(要約)>
1. 「命を守る」ということを最優先し、避難指示を躊躇してはならない。
2. 判断の遅れは命取りになる。何よりもまず、トップとして判断を早くすること。
3. 人は逃げないものであることを知っておくこと。
4. ボランティアセンターをすぐに立ち上げること。
5. トップはマスコミ等を通じてできる限り住民の前に姿を見せ、「全力をあげている」ことを伝え、被災者を励ますこと。
6. 住民の苦しみや悲しみを理解し、トップはよく理解していることを伝えること。
7. 記者会見を毎日定時に行い、情報を出し続けること。
8. 大量のごみが出てくる。広い仮置き場をすぐに手配すること。
9. 職員に対し「お金のことは心配するな。やるべきことはすべてやれ」と見えを切ることも必要。
10. 忙しくても視察は嫌がらずに受け入れること。
11. 応援・救援に来てくれた人々へ感謝の言葉を伝え続けること。
(水害サミットホームページより https://www.mlit.go.jp/river/suigai/top/index.html)
防災ログ事務局:南部優子