南海トラフ巨大地震の被害想定見直し 災害関連死は最大5.2万人 防災ニュース
<5月7日投稿>近い将来の発生が懸念されている南海トラフ巨大地震。国は、前回の公表から10年以上を経て、被害想定を全面的に見直しました。
今回の見直しでは、最悪のケースで約29万8000人が死亡する可能性があるとされています。激しい揺れや液状化現象により、多くの建物が倒壊する恐れがあり、大規模な被害が発生すると予測されています。
中でも注目されるのが、今回初めて試算された「災害関連死」です。これは、避難生活の中で体調を悪化させて亡くなるケースを指し、東日本大震災や能登半島地震などでも揺れや津波で亡くなる「直接死」の数を上回り、深刻な課題として繰り返し指摘されています。新たな試算によりますと、冬の夕方に地震が発生した場合、災害関連死は最大5万2000人にのぼるとされ、これは東日本大震災の10倍以上という深刻な数値となりました。
災害関連死の推計には限界があることから、災害関連死のリスクが高い方の規模についても推計されました。災害関連死のリスクが高いのは、要介護認定を受けた方や妊産婦、難病患者とされています。そのため、平時から地域の診療所や介護施設の耐震化を進めるとともに、保健師や災害派遣福祉チームを迅速に派遣できる体制の整備、炊き出しなどの支援物資を速やかに届ける体制の構築が、避難所の内外で必要だとしています。