今こそボランティアの全国ネットワークがためされる コラム

2018年7月9日

7月9日 内閣府への緊急提言

今こそボランティアの全国ネットワークが試されるときです。

7月の西日本を襲った豪雨災害は、まだ油断できない情況ですが、過去の豪雨災害のように、被災地域が1~2県に及ぶ規模を越えた広範囲に及んでいます。3日経過して死者は90人近くにも上り、行方不明者を含むと犠牲者は100人を超えるかもしれません。テレビでは、被災者の方々が懸命に土砂を除く作業をしていますが、まもなく、雨が小康状態になり、洪水の水が引き、道路が通行可能になると、全国でボランティア活動が活発に始まることになるでしょう。もうすぐ夏休みになることから、多くの若者が参加することが予想されます。

過去の災害で常に問題視されていたのが、災害ボランティア活動のバラバラな行動でした。熊本地震から九州北部豪雨等を経た、今こそボランティア活動の調整をするべき時ではないでしょうか。それが結成されたJVOADの使命ではないでしょうか。

各県単位の被災状況を集約して、ボランティアがマスコミ報道だけを頼って行動するという、地域の偏りを防ぐためにも、社会福祉協議会が開設するボランティアセンター情報を地域ごとに検索できるようにすることや、日本財団等の支援制度を含めて、ボランティアの効率の良い適正派遣と受入情報をJVOADが全て集約して発表できるという体制をとるべきと思います。それを内閣府、全社協、日赤等からも発表するというところまで統制が取れれば、マスコミの報道が整理されて、ローカルのテレビ局はその地域の詳細を報道し、全国のキー局は、偏ったボランティア情報をしなくなるでしょう。

これによって、今後の災害ボランティアの全国ネットワークの基盤は安定し、南海トラフや首都圏にも対応できるのではないでしょうか。JVOADへの参加を嫌がるボランティア団体もありますが、今の日本で統制できるのはこの組織です。震災がつなぐ全国ネットを始め、多くの官民が結束した組織です。米国のNVOADの亜流ではなく、日本らしい組織になることを期待します。

私は、1999年の9月に、内閣府の要請で、初めての災害ボランティア団体全国大会を池袋で開かせてもらいました。その当時は呉越同舟という表現通り、主義主張画異なりや、宗教的な違和感とか、複雑な雰囲気の中、とりあえず人の生命を第一に民アが手をつなげないかとの呼びかけをしましたが、時代がまだ早かったのでしょう。各団体は、自分たちの活動を優先することに賢明でした。NPO法案の前でしたか。それから20年。今こそイデオロギーも超えての共助体制画出来る時代になってのではないでしょうか。

一般社団法人ADI災害研究所 理事長
伊永 勉 氏

ADI

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