都市部で発生する大規模災害では「被災のドミノ倒し」が起きる コラム

2019年12月10日

12月10日 NHKが10月、復興・経営システム・医療・被災者支援・心理学・都市防災の専門家と首都直下地震の「被災ツリー」を作る試みを行いました。
洗い出された被害の数は2100余り。膨大な量の被害を事象別、時系列で整理し、つながりを整理したところ、地震直後に運良く生き延びたとしても、その後「命」「暮らし」「社会」の危機が次々と襲いかかり、様々な被害が樹形図のように広がって国全体を揺るがす被災の連鎖へとつながっていくことがわかりました。

「命の危機」では、ライフラインの途絶からくる脱水症やエコノミークラス症候群、持病悪化などによる災害関連死、病院の被災からくる負傷者受け入れ困難による未治療死などが考えられます。
「暮らしの危機」では、住宅不足からくる住宅難民の発生や都市圏外への避難・疎開による家族離散などの発生が考えられます。
「社会の危機」では、復興費用の増大からくる大規模な増税や財政破綻、経済格差の拡大、人口減少などの国力低下が考えられます。

このように、大規模災害が発生した場合は直後だけでなく長期に渡る深刻な被害がドミノ倒しのように襲いかかり、国全体へ波及することが予測されます。
この「最悪のシナリオ」に対し、お手上げだと目を背けても周期的に発生する地震は回避できません。一人ひとり、やれることから進めて、少しでも手前の被害を減らして連鎖を止めるよう考えていきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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