南海トラフ地震臨時情報は「予告」ではない。事前の備えを考えるために活用を コラム

2019年12月16日

12月16日 太平洋沿岸で発生する確率が高いとされている南海トラフ地震。その範囲はとても広く、静岡県沖から九州沖まで長く伸び、東海、東南海、南海とおよそ3つの区域で沈み込みと破壊を繰り返しています。75年前の1944年12月、太平洋戦争のさなかに発生した東南海地震は、南海トラフ沿いの震源域のなかでは一部の破壊にとどまり、やや小ぶりでした。

南海トラフの地震はどの部分が震源域になるかわからず、また1箇所で発生した揺れが他の震源域へ影響し、時間差で巨大な地震が発生する可能性もあります。
このため、気象庁ではさまざまな地震観測を行い、「南海トラフ地震情報」を発表しています。

南海トラフ沿いの震源域で地震が発生した場合、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」を発表します。これは、地震の発生確率が通常より高まった状態になったということで、津波からの避難が間に合わない沿岸地域の人達などへ1週間程度事前避難をしておくよう指示がでるもので、2019年3月に内閣府からガイドラインが公表されました。

臨時情報は、地震が実際に発生すると予告するものではありません。
実際のところ、突然の地震でとりあえず避難場所に移動した状態で発表された臨時情報をみて、そのまま自宅にも戻らずに1週間も避難所で過ごせるのかどうか、そもそも避難所への移動がスムーズにできる状況なのか。具体的な検討はこれからです。

ただ、南海トラフというプレートが太平洋沿岸に横たわっていること、そして今も少しずつ沈み込んでエネルギーを溜め込んでいるのは目をそらせない事実です。
内閣府では、11月に「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応動画(ドラマ版)」を公表しました。うまく行き過ぎているシナリオだと感じられるかもしれません。
そう思った方はぜひ、実際に自分の住む街や勤務先でこのような状態になったらどう動くことになるのか、そのために何を今から備えておく必要があるかを話しあう教材にしてください。

南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応動画(ドラマ版)(18分34秒)
http://wwwc.cao.go.jp/lib_012/saigaitaitoudorama.html

防災ログ事務局:南部優子


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