助成事業をうまく使って災害に強い企業になろう コラム

2019年12月20日

12月20日 師走の気ぜわしい中、企業で活躍するみなさんにとっては、年内に納めるものと来年から新たに始めるものとが混在し、特に悩ましい毎日かもしれません。今年も広範囲で風水害等が発生し、その影響で対応に追われたこともたくさんあったのではないかと思います。少しずつでよいので対策を充実させていき、突然の事態にも慌てない強さをつけるため、この時期こそ来年の計画をたてていきたいものです。

中小企業にとっては、いつ起きるかもわからない災害に回せる人も資金もないと頭が痛いかもしれません。そんなとき強い味方となるのが、国や自治体が行う助成事業です。何割かの負担で整備が実現するため、とりかかるためのハードルが低くなりますし、助成を受けるための申請手続きを通じて自社内の体制を見直す機会にもなります。

代表的なものでは、中小企業庁の情報があります。毎年度、さまざまな施策を打ち出すのですが、その概要をまとめた「中小企業施策利用ガイドブック」という手引書が発行されています。現在は2019年度版がホームページに掲載されています。
・経営サポート:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/index.html

ガイドブックでは、経営改善(技術力強化、新たな事業活動、ベンチャー支援など)、金融、税などのサポートが紹介されています。実際に被災した企業向けの施設・設備の整備に関するものだけでなく、これから起きる災害に強い企業となるための防災・減災対策の普及促進として、BCPの策定支援や、BCPの運用に必要な施設整備(耐震化、情報処理など)に必要な融資を受けられるものもあります。

また、直接には防災や災害関連のタイトルがないものでも、申請するときに、防災「にも」役立つことを強調しておくと、印象が良くなるものもあります。
たとえば、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」という事業があります。サービス業を中心とした中小企業等が新たにITツールなどを導入する際に受けられる補助で、今年度の実績は導入の1/2、40~450万円の補助を受けられる制度です。特に災害対策に特化したものではありませんが、災害発生時の点検に役立つとか、災害時の外力にも強いとか、アピールポイントのひとつにしていくことができるでしょう。

その他、都道府県など自治体の補助事業も独自に行われています。直接被害に遭った企業向けのものもありますし、うまく応用できそうなものもたくさんあります。例を挙げておきます。
・茨城県:被災中小企業復旧支援事業費補助金(施設、機械、車両、委託料など:3/4以内)
・栃木県:地域企業再建支援事業費補助金(機械装置、商品開発など:2/3以内、2,000万円まで)
・埼玉県:クラウドファンディング活用促進事業補助金(投資型クラウドファンディング組成手数料)
・横浜市:中小企業設備投資等助成金(IT・IoT関連、設備・機械など)

自治体の助成事業は多岐にわたり、ここでご紹介しきれませんので、たとえば、「補助金ポータル」のようなサイトで自社の地域に絞って検索をかけてみるとよいでしょう。
・補助金ポータル:https://hojyokin-portal.jp/

これらの事業は年度単位で実施されるものが多く、現在は後半にさしかかっていますので、いまから申請するのは難しいかもしれません。ただ、事業が発表されてから企画検討していたのでは遅いです。いまのうちから、自社に合いそうな事業を探しておき、次年度にも予定があるかを確かめておくようにして、準備を進めておきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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