「災」に明け暮れた令和元年 次年度の予算は巨大災害への備えを加速 コラム
2019年12月27日
12月27日 令和へ元号が変わり、新たなスタートとなった2019年ですが、台風15号や19号など、大規模災害が相次いだことが印象に残った年になりました。
ニフティが調査した2019年についてのアンケートで「今年を漢字一文字で表すなら?」のランキングでは、上位20位までのうち半数近くの漢字が災害関連になっています。
1位の「災」の漢字は昨年も1位でしたが、昨年に比べて約2倍の票を獲得しました。そのほかにも、3位の「雨」、4位の「水」、14位の「風」が昨年より順位を上げています。
(ちなみに「嵐」は活動休止を発表した人気グループの方でランクインしています)
また、同じくニフティが行ったアンケート「2019年、これまでに起こったニュースで印象深かったものは?」への回答でも、災害による甚大な被害を選んだ人が最も多くなっていました。
このように世間一般でも関心が高まっている大規模災害。政府が進める来年からの取り組みでも防災を重要視する方向にあります。
令和2年の予算要求時に示された基本的な考え方として、大規模自然災害から国民の生命と財産を守るための取り組みの加速化・深化を図ることが筆頭に挙げられており、「被災地の復旧・復興」「国民の安全・安心の確保」「生産性と成長力の引き上げの加速」「豊かで暮らしやすい地域づくり」に取り組むことが明示されています。
また、12月5日に閣議決定した「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」では、経済対策の3つの柱のひとつに「災害からの復旧・復興と安全・安心の確保」を掲げ、次の施策を進めるとしています。
<令和元年度補正予算>
・自然災害からの復旧・復興の加速 0.7兆円
・防災・減災、国土強靭化の強力な推進 0.9兆円
・国民の安全・安心の確保 0.8兆円
<令和2年度当初予算>
・「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」の着実な実行 1.1兆円
12月20日に発表された国土交通省の令和2年度予算の方針でも、予算編成の基本的な考え方の筆頭に「治水対策を中心とした防災、減災対策等の強化」が挙げられており、関心の高さが伺えます。
具体的には、
・防災・減災等強化推進費(仮称)の創設(新規:310億円)
・個別補助制度の創設(新規:102億円)
・市街地の内水氾濫への対策強化(前年度より140億円増:244億円)
・治水リーディング・プロジェクトの推進(前年度より86億円増:5221億円)
と、予算の強化が図られています。
政府の予算は公共団体に展開されるものというイメージがありますが、社会貢献につながる公的な取り組みを官民共同で行う方針が強化されていることもあり、次年度はさまざまな方向から新しいビジネスにつながる募集が進む可能性も高まっています。
2020年は、阪神淡路大震災発生から25年という節目でもあります。来年もしっかりと防災に関する情報のアンテナを広げていきましょう。
防災ログ事務局:南部優子