南海トラフ沖合で「ゆっくりすべり(スロースリップ)」確認 地震メカニズム解明へ期待 防災ニュース

2020年1月24日

1月24日 東京大学と海上保安庁が合同で、南海トラフ震源域の海底下で新たな「ゆっくりすべり」を検出したと1月16日に発表しました。巨大地震が発生するプレート境界では、ゆっくりすべり(スロースリップ)と呼ばれる静かな地震が発生することが知られています。これまで、陸域の観測データではゆっくりすべりの発生と巨大地震の発生の関係性についての研究が進んでいました。陸域から遠く離れた海域でも同じようなゆっくりすべりが発生している可能性があったものの、観測が難しく、詳細がよくわからない状態でした。

今回観測されたゆっくりすべりは、海上保安庁が南海トラフ震源域やその南の海底に設置した15箇所のうちの7箇所で、いずれも陸域から50キロメートル以上離れたところで発生しています。
陸地から遠く離れた海域でも実際にゆっくりすべりを捉えることができたのは今回が初めてで、今後、さらに観測データを集めていくことで、プレート境界で何が起きているかなどの巨大地震発生のメカニズムを解明し、防災対策に活用できるシミュレーション研究などに役立てられるのではないかと期待されています。

現在気象庁では、「南海トラフ地震に関連する情報」を発表し、巨大地震発生へ少しでもはやく対応できるよう情報発信していますが、この研究が進めば、さらに沖合の海底状況についての情報も加わって、より事前に心の準備をしたり、対策を打ったりすることができるようになるかもしれません。

いつ発生するかわからない巨大地震ですが、いろいろな情報が発信されています。公表された情報から何を読み取り、どんな備えをする必要があるのか、常にアンテナを広げておきましょう。

写真出典:東京大学生産技術研究所 南海トラフにおける海底地殻変動観測によってゆっくりすべりに起因すると考えられる地殻変動のシグナルを検出した地点(赤四角)および明確な変化が検出されなかった地点(黒四角)
https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/news/3223/

防災ログ事務局:南部優子


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