南海トラフ巨大地震の津波発生確率は交通事故で負傷するより高い 防災ニュース

2020年2月4日

2月4日 南海トラフ沿いの地域については、これまで震度や津波高などの予測が発表されていましたが、この度、今後30年以内に高さ3メートル以上の津波に襲われる確率が初めて公表されました。
公表したのは、政府の機関である地震調査研究推進本部地震調査委員会で、ことし1月24日に公表した「南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価」の中で試算されました。試算によると、最も高い確率は26%以上。これは、30年以内に交通事故でけがをする確率15%、火事に遭う確率1.1%、台風で被災する確率0.33%などと比べてとても高い数値です。

この調査は、南海トラフ沿いで今後30年以内に70%から80%の確率で発生するとされるマグニチュード8から9クラスの地震を対象に、沿岸の自治体が津波に襲われる確率を計算したもので、津波の高さを3段階に分けて試算されました。このうち、3メートル以上の津波に襲われる確率は、四国、近畿、東海を中心とした合わせて71の市区町村で最も高いランクの「26%以上」とされています。津波の高さが3メートルというのは、あまり高くないと思われるかもしれませんが、木造家屋の場合、2メートルで全面的に崩壊し、3メートルくらいで流出してしまうといわれています。

また、鉄筋コンクリートでも破壊され甚大な被害が出るといわれている10メートル以上の津波に襲われる確率は、高知県や三重県を中心とした合わせて21の市と町で「6%以上26%未満」と、これも高い数値になっています。

なお、今回は、マグニチュード9を超えると想定される最大クラスの地震は、1000年に1度くらいではないかといわれていますが、あまり詳しく発生頻度が分かっていないため、今回の試算の対象からは除外されています。

南海トラフ沿いの巨大地震で発生する津波については、これまでに津波高や到達時間が発表されていました。今回はそれに加えて30年以内の発生確率が発表された形になります。
交通事故で負傷するより可能性の高いとされる津波の被害。その範囲は太平洋側に大きく広がっています。該当する沿岸地域に自宅や関係者の家がある方、職場をもつ方、取引などで関係する拠点がある方がたくさんいるとおもいます。いま一度、被害にあう確率や被害の程度、被害の範囲、いまからできる対策などを、ハザードマップや防災計画、マニュアルなどで確認し、津波から命や業務を守るための避難経路や避難場所、避難に必要なグッズなど、事前の備えを確認して備えておきましょう。

(画像出典)
地震調査研究推進本部「南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価」
https://www.jishin.go.jp/evaluation/tsunami_evaluation/

防災ログ事務局:南部優子


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