「防災版」道の駅誕生へ 今秋にも各都道府県に1~2箇所 国交省認定方針 防災ニュース

2020年2月26日

2月26日 全国の地域を結ぶ道の駅。この中から大規模災害時に広域防災拠点となる「防災道の駅」が誕生することが決まりました。国土交通省は、各都道府県から1~2箇所を選定する新たな認定制度を創設します。早ければ今秋にも防災道の駅が誕生することになります。

防災道の駅の認定では、現在すでに防災機能をもっている道の駅の中から、幹線道路へのアクセスがよく浸水や土砂災害などの危険区域外にある候補箇所を選定。自衛隊や警察・緊急消防援助隊、DMAT、テックフォース(国交省による緊急災害対策派遣隊)などの救援部隊が活動する拠点スペースや、緊急物資の集積・配送拠点、ヘリポートなどを整備する予定です。平常時にはドクターヘリの活用も検討されています。

道の駅は現在、全国で1160箇所あり、設置・運営は市町村が行っています。災害時の一時避難所として市町村の地域防災計画で指定されており、耐震補強や非常電源、備蓄、貯水などの整備が進められています。今回の防災道の駅は、広域的な災害対策や復旧・復興の拠点となるため、都道府県が主体となる広域防災計画の中に織り込まれ、広域道路交通計画とも連携させていく方針です。

国交省の2025年までの目標では、防災道の駅だけでなく、地域の防災拠点となっている道の駅約500箇所についてもBCP(事業継続計画)の策定や防災訓練の実施を求めるなど、防災力の強化を図る取り組みを進めています。特に重要な交通路沿いの273箇所は、国交省により電源装置の整備や耐震工事が行われていて、今年度中に完了する予定です。全国では、地域の足を結ぶ道の駅に対し、防災拠点としての期待が高まっています。
2004年の新潟県中越地震や2011年の東日本大震災では、道の駅が自然発生的に被災者の避難所になったり、救助救援車両の集結場所になったり、物資流通の拠点やボランティアの活動拠点になったりしました。今回の防災道の駅の設置により、防災道の駅が広域対応のバブとなり、各地域の道の駅が地域防災の拠点となる二段構えで、大規模・広域災害への対応力向上を図ることになります。

道の駅の災害時の対応については、ひとつ難点があります。じつは、道の駅の施設は地方自治体が設置・運営していますが、駐車場とトイレは国の道路管理者が設置・運営しており、ひとつの拠点に異なる運営主体が入っている状態になっています。平常時は特に問題ないのですが、災害時には異なる判断などで混乱を招くおそれも出てきます。このため、協定の締結や道の駅全体としてのBCP(事業継続計画)により役割分担を明確にしたり、合同での防災訓練を行ったりするなどの連携強化が必要とされています。

防災ログ事務局:南部優子


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