緊急事態宣言を出した法的根拠はどこに? 大規模災害時に効力を発揮する「特措法」を理解しておこう コラム

2020年4月7日

4月7日 新型コロナウイルスの流行を受け、「緊急事態宣言」が発令されました。発令による活動の影響などについては他のニュースをご覧いただくとして、ここでは、緊急事態宣言発令の根拠となっている特別措置法について、詳しくみていくことにしましょう。

新型コロナウイルス感染症への対処として出された緊急事態宣言は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の附則を改正、令和2年3月13日成立、翌14日に施行されたものに基づいています。法律で適用される人や事象は、本来不特定多数であるべきものですが、適用する対象を限定し、具体的な処分を決める規範として定めるものを「措置法」といいます。そして「特別措置法」は、特に緊急事態となる事象を想定したもので、現行の法制度で対処できないものに対し、期間や目的などを限定して集中的に対処するために定める法律です。「特措法(とくそほう)」とも呼ばれます。

今回の新型コロナウイルス感染は、急激に拡大した新しいウイルスで適切な範囲の法律がありませんでした。そこで、約10年前に流行した後で整備し、制定した新型インフルエンザの特措法を改正して活用したのです。感染症だけでなく、大規模災害となることが想定される事象については、災害別に特措法が制定されています。自然災害に対しては、災害全般への対策の基本方針を描く「災害対策基本法」のもと、個別の大規模・緊急の事象を想定し、以下のような特措法が定められています。

・地震防災対策特別措置法(平成7年、平成28年改正)
・大規模地震対策特別措置法(昭和53年、平成30年改正)
・南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年、平成30年改正)
・日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成16年、平成27年改正)
・首都直下地震対策特別措置法(平成25年、平成30年改正)
・活動火山対策特別措置法(昭和48年、平成27年改正)
・豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年、平成27年改正)
このほか、原子力災害対策に関するものやテロ対策に関するものなどもあります。

これらの特措法では、災害の範囲や地域などを指定したり、交付金や国庫補助率のかさ上げ、規制の特例などにより事前対策の推進を図ったり、緊急の事態が発生した場合に中枢機能を維持するための緊急措置を講じる計画をたてたりしています。

いざとなったときに国や自治体はどう動くことになるのか、社会活動にどのような影響があるのかは、特措法のような措置を定めた法律の規定により左右されていきます。こうした機会を利用して、自分たちの地域に大きな影響を与えそうな災害について、どんな法律があるのかを意識してみるのもよいのではないでしょうか。


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