「余震」の常識を覆した熊本地震 防災ニュース

2020年4月16日

4月16日 2016年4月14日と16日に発生した熊本地震は、熊本県益城町で震度7を観測し、熊本県・大分県を中心に大きな被害をもたらしました。
熊本地震の特徴は、地震の回数の多さです。はじめの大地震と2回めとの間隔はわずか28時間。同じ地域で連続して震度7の地震に見舞われたのは、震度7が設定されて以来はじめてのことでした。熊本地震はその後も地震活動が活発でした。1カ月のあいだに震度7が2回、震度6強が2回、震度6弱が3回、震度5強が4回、震度5弱が8回発生します。震度1以上で数えるとなんと1888回。2カ月め以降も継続して地震が発生しています。また、地震から2カ月後の6月19日から25日に豪雨に見舞われ、ダブルで被災する「複合災害」も発生しました。

相次ぐ地震により、最初の地震では持ちこたえていた建物が倒壊したり、危険度判定で住めなくなったりしてしまった被災者や、揺れが怖くて避難所の中にもいることができず、駐車場で車中泊したり、テントを張ったりして避難する人が相次ぎました。熊本地震では、地震を直接の原因として亡くなったのが50名、2カ月後の豪雨災害に関連して亡くなったのが5名でしたが、避難生活で持病が悪化するなどの災害関連死で亡くなったのが215名と、およそ4倍にのぼっています。また、地震発生のたびに何度も点検などの緊急対応を繰り返すことになり、疲労困憊となる災害従事者も多くいて、対応にあたる自治体は大混乱していました。

熊本地震の5年前に発生した東日本大震災の教訓を活かし、被災地への支援には、国からプッシュ型(被災地からの要請がなくても応援側が体制を整えて支援を送り込むスタイル)で物資支援を行ったほか、全国の専門ボランティアやNPOをつないで組織的に対応できるようにするなど、これまでの大規模災害で特に懸案とされた物資供給とボランティア派遣に関する様々な試みがなされました。

一方で、被災地の自治体に対しては、相次ぐ余震で使用できない施設が多くなったり、避難対応などで職員が不足して物資を避難所まで届けられなくなったりするなど、被災地側の受け入れ体制が整わず支援が現場まで行きわたらないなど、多くの課題が明らかとなっていきました。

熊本地震を受けて国でも検討会がもたれ、大規模地震に対しては、物資輸送や避難所への職員・専門家の派遣など、応援側・受援側の双方で体制を整える必要があることが明確になりました。自治体だけでなく民間企業やNPOも含めたネットワークで推進するしくみを整えるとともに、ICTなどを積極的に活用していくよう、体制の整備が図られてきています。

防災ログ事務局:南部優子


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