令和元年東日本台風から半年 今年の出水期への備えはできているか 防災ニュース

2020年4月20日

4月20日 記録的な被害をもたらした台風として42年ぶりに名称がつけられた(※)「東日本台風」(台風19号)の発生から半年がたちました。同じく名称がつけられた「房総半島台風」(台風15号)とともに、昨年発生した一連の風水害の爪痕は深く、いまだに仮設住宅やみなし仮設(仮設住宅とみなして借り上げげられた住宅)で不便な生活を強いられている人たちが大勢います。

令和元年は、特に風水害の発生が多い年でした。主なものを挙げてみると、
・梅雨前線  6月28日~7月5日 死者1名、行方不明者1名、重軽傷者5名
・前線+台風5号  7月17日~7月22日 行方不明者1名、軽症者6名
・台風8号  8月5日~8月7日 死者1名、重軽傷者5名
・台風10号  8月12日~8月17日 死者2名、重軽傷者56名
・前線に係る大雨  8月26日~8月29日 死者4名、重軽傷者2名
・台風13号  9月3日~9月8日 軽症者7人
・台風15号(房総半島台風)9月7日~9月9日 死者1名、重軽傷者150名
・台風17号  9月19日~9月24日 死者1名、重軽傷者65名

と、梅雨の頃から秋にかけて、連日のように風水害の被害が発生しています。そしてこの後に襲ってきた東日本台風(台風19号、10月10日~13日)では、1都12県309市区町村に大雨特別警報が発表され、国・県の管理河川で104箇所が決壊するなど、同時多発的に、また広範囲に、甚大な被害が発生しました。東日本台風から10日ほどたってダメ押しをするようにやってきた低気圧(10月24日~26日)とあわせて、死者104名(うち災害関連死7名)、行方不明者3名、重軽傷者374名と、桁違いの被害が出ています。

これらの風水害では、避難をしなかった、避難が遅れたことによる被災や、屋外移動中の被災、高齢者の被災がいまだ多くなっています。中央防災会議では、「令和元年台風第19号による災害からの避難に関するワーキンググループ」を立ち上げ、2020年3月に報告書をまとめました。報告書によると、房総半島台風(台風15号)と東日本台風(台風19号)を中心とした台風被害の教訓を踏まえ、次のような項目について、課題と対応策が検討されています。
対応策については、2020年度の出水期までに実施すべき緊急の対策と、2020年度以降も引き続き検討する抜本的な対策とに分けて提言がまとめられました。主な課題項目は以下のとおりです。

<主に房総半島台風(台風15号)>
・長期停電
・通信障害
・初動対応
・交通機関の運休
・ブルーシートの不足

<主に東日本台風(台風19号)>
・災害リスクと取るべき避難行動の理解不足
・高齢者等の避難
・大規模広域避難
・河川情報、気象情報の伝わり方
・浸水想定区域外の被害
・電気設備の浸水被害
・災害廃棄物の堆積
・避難所の生活環境(女性の視点の不足)

まもなく出水期がやってきます。新型コロナウイルスで身動きがとれない昨今ですが、気象災害は無関係に今年も襲ってくることでしょう。これまで以上に情報に敏感になっておき、早めの対策をとることが重要です。いまいちど、昨年の風水害でなにが起きていたかを思い出しつつ、いまから備えておきましょう。

※災害の名称:気象庁が、顕著な災害をもたらした自然現象について、後世に経験や教訓を伝承することなどを目的に定める。台風による災害では、損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害などの顕著な被害が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合とされている。

防災ログ事務局:南部優子


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