風水害・土砂災害時の「タイムライン」をウイルス対策に応用しよう コラム

2020年5月26日

5月26日 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた緊急事態宣言が解除され、自粛していた経済活動も徐々に再開されるようになってきています。しかし、新型ウイルスは、治療薬やワクチンなどが整わず、抗体がついていない間は、第二波、第三波と流行が戻ってくる可能性もあります。

再流行を拡大させないためにも、今のうちに事前対策を打っておきましょう。その参考になるのが、風水害や土砂災害時に作成する「タイムライン」です。タイムラインは、台風や大雨の接近による水害や土砂災害の発生を想定したシナリオをつくり、時間軸に沿って事前に判断することや行動することを決めておくことで被害を最小限に抑える計画です。

例えば、大阪府河南町では、新型インフルエンザ行動計画をベースにして「パンデミック対応タイムライン」を運用しています。タイムラインでは、次のように流行を8つの段階にわけてそれぞれのタイミングで実施することを決め、すばやく行動できるように準備しています。

0 感染未発生:備蓄の準備など
1 近隣国で感染:コールセンターの準備など
2 国内で感染発生:物資の追加発注、保健所・医師会との連携確認など
3 府下で感染発生:施設の使用制限、行事の中止要請、テレワーク・時差出勤など
4 町内で感染発生:感染者情報と濃厚接触者の情報収集、外出自粛要請、休業対策など
5 町内で複数感染:国・大阪府へ応援要請、応援物資要請など
6 急速な感染拡大:遺体などの対応体制確保など
7 流行ピーク後:物資等の支払、通常業務や行事等の再開の検討など

このほかにも、全国の自治体で初めてタイムラインの運用を始めた三重県紀宝町も5段階のステージに分けた計画を作成し、運用しています。

ウイルス流行のさなかにこのような計画を作るのはたいへんかもしれませんが、タイムラインの基本的な考え方である「状況を先回りして準備する」という取り組みは、事業の段階的な再開や、ウイルス再流行を見越した事業継続を混乱なく進めるためのヒントがたくさんあります。分かる範囲で状況を整理し、次の流行に備える計画をたててみてはいかがでしょうか。

防災ログ事務局:南部優子


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