予告なく襲来する遠地地震の津波 ~チリ地震津波の教訓 コラム

2020年5月29日

5月29日 今から50年前の1960年5月24日2時半ごろから4時ごろにかけて、突然日本に津波が襲いかかりました。ほぼ1日前の23日午前4時11分(日本時間)に南米のチリで発生した巨大地震の津波です。

チリ地震はマグニチュード9.5と、世界最大規模の大きさで、直前にマグニチュード7~7.5クラスの地震が5~6回続き、その後9.5の地震が起きました。震源地はチリ南西沖で、プレート境界型地震で、地震発生15分後に起きた約18mの地震がチリ沿岸部を襲った後、津波は広く太平洋をわたって、ハワイ諸島や日本を襲いました。

チリと日本は約1万7500kmも離れていますが、津波は平均時速777kmという猛烈なスピードで太平洋をわたり、北海道から三陸地方、紀州、四国、九州、沖縄まで、広い範囲の沿岸に到着。三陸地方では津波高は最大6.3mにも達し、死者・行方不明者142名、負傷者855名、全半壊4万棟など、甚大な被害となりました。

当時は計測や監視システムがなく、警報を出すタイミングが遅れました。早朝から出漁などで浜に人がいた地域の海をよく知っている人が判断して避難したことにより難を逃れた地域がある一方、ふだんの近地津波では被害が起きにくい奥まった湾の地域などでは行動が遅れ、多くの犠牲者が出ました。その他、周期の長い津波だったこともあり、引き潮になったときに浜まで魚介を採りに出て巻き込まれたりもしました。

この遠地地震による津波被害をきっかけとし、太平洋広域での地震・津波情報を共有する組織が国連のもとに組織されました。現在は、国外で発生した大規模地震については、気象庁が「遠地地震に関する情報」というかたちで、地震の発生時刻、発生場所、規模(マグニチュード)、日本や国外への津波の影響などを30分程度で発表することになっています。


画像:内閣府防災 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1960チリ地震津波より 数値解析によるチリ地震津波の再現 左:津波発生から2時間後 右:津波発生から24時間後(口絵1及び2より作成)

防災ログ事務局:南部優子


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