42年ぶりに名前のついた東日本台風(令和元年台風19号)は記録的降水量で広範囲に被害 コラム

2020年6月18日

6月18日 2019(令和元)年10月に発生した台風19号は、42年ぶりに「東日本台風」という名称がつけられたほど、日本列島の広い範囲にわたり記録的な被害をもたらしました。

台風19号は、記録的な雨をもたらした台風でした。12日19時前に大型で強い勢力の状態で伊豆半島に上陸し、その後関東地方を通過していきました。10日から13日までの総降水量が、神奈川県箱根で1000ミリに達し、東日本を中心に17地点で500ミリを超え、特に静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方の多くの地点で3、6、12、24時間降水量の観測史上1位の値を更新。6時間降水量は89地点、12時間降水量は120地点、24時間降水量は103地点、48時間降水量は72地点で観測史上1位を更新しました。

この台風では、1都12県309市区町村に大雨特別警報が発表され、国・県の管理河川で140箇所が決壊するなど、広範囲で被害が発生しました。東日本台風からわずか10日後の24日から26日にかけて低気圧が同じようなコースをたどり、関東地方から東北地方の太平洋側を中心に大雨をもたらしたこともあって、死者104名(うち災害関連死7名)、行方不明者3名、重軽傷者374名と、多数の被災者が発生しました。

避難をしなかったり避難が遅れたりして被災した例や、屋外移動中に被災したり、高齢者が被災したりする例もまだ多く残っています。一方で都市部では、避難所が満員で入りきれないという事態になったところもありました。避難所での生活については、特に女性への配慮不足も課題となりました。

また、国や都・県が管理する大きな河川に流入する小さな河川の排水が追いつかず、広範囲でない氾濫が発生し、駅が水没したり、タワーマンションの1階に設置されていた電源設備が浸水により被災して1週間以上停電が続き、水を組み上げるポンプも稼働できないため断水にも影響して、多数のマンションの住民に影響を与えた例もありました。

その他にも、通電火災や大量の災害ゴミの発生、屋根の応急修理に必要なブルーシートを張り替える職人不足による復旧の遅れや修理詐欺などのトラブルの発生など、都市部での台風災害のリスクが浮きぼりになりました。

新型コロナウイルス対策が重大なリスク管理となっている現在ですが、大雨や台風などの気象災害はウイルスとは無関係に今年もやってきます。今風水害に見舞われたらどう動けばよいのか、家庭にいるときや職場にいるときの状況を想定し、早めの対策をとることが重要です。いまから備えておきましょう。

※災害の名称:気象庁が、顕著な災害をもたらした自然現象について、後世に経験や教訓を伝承することなどを目的に定めるもの。台風による災害では、損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害などの顕著な被害が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合とされている。

防災ログ事務局:南部優子


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