水害はハザードマップの範囲で起きる 球磨川の浸水推定図を公開 防災ニュース
2020年7月8日
7月8日 7月3日から4日の朝方に発生した熊本県南部の水害は、球磨川流域で決壊が1箇所、氾濫が11箇所と多数になり、土砂災害も各地で発生しました。梅雨前線の活発化による大雨は長期化の様相を示しており、全国の広い範囲で、いつどこで浸水や土砂災害が発生してもおかしくない状況となっています。
球磨川流域の浸水状況については、国土交通省が7月4日に浸水範囲の概略データを公開しています。この浸水範囲のデータと、国土交通省が発表しているハザードマップの浸水想定区域との比較を、静岡大学防災総合センターの牛山素行教授が公開されています。この比較によると、想定最大規模(概ね1000年に1度の少ない頻度だが浸水の可能性を最大にした想定)だと、今回の浸水範囲はほぼ浸水想定の範囲内、計画規模(概ね100年に1度と発生の可能性が高めの想定)でも中心市街地の一部の除いて多くの地域が浸水想定区域内でした。
ハザードマップの浸水想定は、一級河川などの大規模な河川でシミュレーションされていて、大きな河川に流れ込む中小河川については想定が整備されていません。このため、浸水想定区域外とされていても浸水被害が発生します。特に地形的に、河川と高さの変わらない「低地」は要注意です。
牛山教授の調査によると、土砂災害では87%、河川浸水では41%が、リスクが高いとされる土砂災害危険箇所や浸水想定区域などの範囲内もしくは近傍で被災しています。中小河川の氾濫リスクも考えると、ハザードマップで示されているリスクの高い範囲がどこなのかを事前に把握し、安全確保の行動を起こすことが重要です。
大雨は当分継続します。気象庁などの最新の気象情報に注意するとともに、自宅や勤務地、通学先などの災害リスクをしっかり確認して、いざというときにどのようにして安全な行動をとるのか、家族や職場で検討しておきましょう。
防災ログ事務局:南部優子