7月に発生した主な水害 コラム

2020年7月13日

7月13日 大雨が降り続き、各地で被害が発生しています。九州地方をはじめ、岐阜県や長野県でも被害が相次ぎ、政府では激甚災害と特定非常災害の指定についての検討も進められています。
気象庁は7月9日に、今回の大雨を「令和2年7月豪雨」と命名しました。顕著な災害が発生した自然現象に対して名前がつけられるのですが、気象現象が続いている最中に命名されたのは今回が初めてのことです。

この豪雨は、これからも続きます。今後はちょっとした降り方でも被害につながる可能性があります。気象の変化に十分気をつけてください。また、いま被害に至っていない地域も、油断はできません。7月は、梅雨前線が活発になり、全国で大雨や豪雨災害が発生しやすい時期です。近年は特に温暖化による気象の大型化を取り上げることが多くなっていますが、死者を出すほどの大水害は、ここ数年だけでなく、ずっと以前からありました。

気象庁が発表している事例から7月に発生した水害を挙げてみましょう。
昭和の時代は、死者・行方不明者が数百人にのぼる災害などが全国で発生しています。

<昭和>
・1951年7月7~17日(九州から北陸まで被害、京都府を中心に死者・行方不明者306名)
・1952年7月10~12日(近畿地方で大きな被害、大阪府を中心に死者・行方不明者140名)
・1953年7月16~25日 南紀豪雨(和歌山県を中心に死者・行方不明者1124名)
・1957年7月25~28日 諫早豪雨(九州地方を中心に死者・行方不明者722名)
・1962年7月1~8日(九州地方、中国地方、中部地方で被害 死者・行方不明者127名)
・1964年7月17~20日 山陰北陸豪雨(山陰地方、北陸地方を中心に死者・行方不明者132名)
・1967年7月8~9日(佐世保、呉、神戸市を中心に死者・行方不明者369名)
・1972年7月3~15日(全国で甚大な被害発生、死者・行方不明者447名)
・1982年7月 長崎豪雨、台風10号(近畿・北陸・関東を中心に死者・行方不明者439名)
・1983年7月20~29日(島根県を中心に死者・行方不明者117名)

平成になると、治水や避難などの対策が進み、死者や行方不明者の人数は全体として少なくなっているものの、命に関わる規模の大きな豪雨災害が毎年どこかで発生するようになってきています。
平成で最も被害が大きかったのは、2018年の「平成30年7月豪雨」で、死者・行方不明者あわせて232名と、平成に入ってからでは桁違いに大きな被害となりました。

<平成>
・1989年7月24~8月7日(台風11、12、13号による被害 死者・行方不明者31名)
・1993年7月26~8月(台風5、6、7号と梅雨前線による被害 死者・行方不明者107名)
・1996年7月3~7月4日(落雷や雹も伴った水害 死者2名)
・1997年7月1~17日(西日本・中部)24日~29日(台風9号と前線 四国・東海)死者26名
・2000年7月3~9日(伊豆諸島から関東・北海道を中心に大雨)
・2001年7月11~13日(九州北部を中心に大雨)
・2002年7月8~12日(台風6号と前線 中部から東北を中心に死者・行方不明者7名)
・2003年7月18~21日(九州北部を中心に死者23名)
・2004年7月12日~ 新潟・福島豪雨、福井豪雨、台風10、11号(計 死者・行方不明者24名)
・2005年7月1~10日(西日本と中部、九州、東海など 死者10名)
・2006年7月15~24日(九州、山陰、近畿、北陸など 死者・行方不明者30名)
・2007年7月1~17日(沖縄から東北南部の太平洋側 死者・行方不明者7名)
・2008年7月27~29日(中国・近畿・北陸・東北 死者・行方不明者16名)
・2009年7月19~26日(九州北部・中国・四国 死者36名)
・2010年7月10~16日(九州北部、中国、東海などを中心に死者・行方不明者22名)
・2011年7月27~30日 新潟・福島豪雨(新潟・福島を中心に死者・行方不明者6名)
・2012年7月11~14日 九州北部豪雨(福岡・熊本・大分を中心に死者・行方不明者33名)
・2013年7月22日~8月1日(島根・山口をはじめ北日本まで広く被害 死者・行方不明者5名)
・2014年7月6~11日(台風8号と前線 沖縄・九州南部・奄美を中心に死者3名)
・2018年6月28日~7月8日(平成30年7月豪雨 死者・行方不明者232名)

「50年に1度」といったアナウンスされる風雨が毎年繰り返されるのに違和感を覚える人もいるのではないかと思いますが、この表現はあくまで規模を例えた言い方です。その土地では数十年ぶりでも全国あわせれば毎年起きます。近年の水害は、それだけ大きな規模の水害が毎年広範囲で発生しているというのが特徴なのです。

災害は、自然現象の大きさだけでなく、社会の機能、つまり私たちの対応力の大きさで変わります。
少しでも被害を小さくすることができるよう、自分でできること、地域や職場でできること、公的機関と協力して進めることなどを考え、実践していくように心がけましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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