浸水想定区域のなかにある居住誘導区域 約9割(国土交通省調べ) 防災ニュース

2020年7月27日

7月27日 梅雨前線の活動がまだ続き、各地で平年より梅雨明けが8月までずれこむ可能性もでてきています。そのうえ、8月から9月にかけては例年台風の襲来も見込まれ、さらなる水害への警戒が必要な季節が続きます。国土交通省が昨年行った調査では、浸水の危険があると警告された地域に居住誘導区域が重なっている都市が約9割にのぼっています。

居住誘導区域は、多くの自治体が都市部の中で住宅の立地を促すよう設けているもので、住民サービスを集中させたところに住むことで都市機能を維持するコンパクトシティの整備のひとつです。住民の居住を促す居住誘導区域について、浸水や土砂災害の危険性のある区域を重ね合わせたところ、土砂災害特別警戒区域や津波特別警戒区域など、いわゆるレッドゾーンに相当する危険地域については居住誘導区域からの除外が進んでいるものの、イエローゾーンとされるハザードエリアについては、土砂災害警戒区域や津波浸水想定区域では約3割、河川などの浸水想定区域については実に9割近くが、危険の可能性がある区域が居住誘導区域に含まれていることが調査でわかりました。

人口減少への対策として都市機能を集中させるコンパクトシティの実現は重要な課題ですが、一方で機能が集中した場合は一度に被害を被るリスクも高くなります。このため、都市の整備には防災面の強化が欠かせません。特に近年は、いつ起こるかわからない地震災害だけでなく、水災害が毎年発生し、大きな被害となっています。
ハザードエリアに居住してしまっている場合、災害は必ず起きるものと考えなければなりません。リスクを受け入れることができなければ移転が必要ですし、移転ができなければ少しでも被害を小さくするための「減災」の考えをもってリスクを受容しつつ備えていく必要があります。

国土交通省では、「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会を設置し、7月16日に開催された第4回検討会では、水災害対策とまちづくりの連携のあり方提言や水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン骨子がまとめられました。年度内にはガイドラインがとりまとめられ、今後はモデル都市での実証的な検討が進められます。
とはいえ、国や自治体がすすめる政策・施策には限界があります。個別の危険性については、自分自身がリスクを正しく受け止め、対策をとっていかなければなりません。

みなさんの家庭や職場は、どんなエリアになっているでしょうか。
いま一度、自治体のハザードマップを確かめてどのような備えが必要なのかを確認し、対策していくことをおすすめします。

出所:国土交通省「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会 第1回資料 2.ハザードと居住誘導区域との関係の状況

防災ログ事務局:南部優子


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