要配慮者施設の水害避難計画 半数以上が未作成 防災ニュース

2020年8月5日

8月5日 浸水の恐れがある地域に建てられた要配慮者施設のうち、避難確保計画を作成している割合が約45%にとどまることが、国土交通省の調査で明らかとなりました。この調査は、水防法に基づき市町村の地域防災計画に位置付けられている要配慮者利用施設(高齢者や障害者などの社会福祉施設、学校、医療施設)に対して作成が義務付けられている避難確保計画の作成状況の現状把握のために行われました。

大規模な水害が相次ぐ近年では、国や自治体の治水や防災対策だけでは完全に被害を防ぐことができないため、命を失う最悪の事態を避ける「減災」の考え方が進み、企業や施設などが主体となって行う「自衛水防」が重要視されています。特に、命を守る行動をとるために時間や人手を必要とする要配慮者施設について、確実な避難ができるよう、避難確保計画を作ったうえで、ハードの整備や備蓄、訓練などの事前対策を進めることが求められています。

今回の調査によると、2020年1月1日時点で、全国約7万8千の施設が浸水想定地域に建てられており、そのうち避難確保計画を作成していたのは約3万5千(約45%)と、半数以上の施設が計画をたてていないことが明らかになりました。

浸水被害は毎年のように全国で発生しています。国土交通省では2021年度末までにすべての施設で避難確保計画をもつよう働きかけるとしていますが、国から言われたから作るといった消極的な取り組みでなく、できるだけ早く自分たちの施設の現状にあわせた「ほんとうに動けて命を守れる」計画を作り、訓練などで全員に浸透させ、いつでも使えるようにしていく必要があります。

そして、今回の調査は要配慮者施設が対象でしたが、一般の企業でも「自衛水防」は重要です。
今回ご紹介した要配慮者施設の避難確保計画は、作成の手引きや解説、様式、記載例などが国土交通省のホームページで公開されています。自分たちの敷地が浸水想定地域内やその周辺にあるかをハザードマップで確認し、ホームページの手引きを参考にしながら、大規模浸水時の避難について、今一度対策を考えてみてはいかがでしょうか。

国土交通省 自衛水防(企業防災)について 避難確保計画作成の手引き
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/jouhou/jieisuibou/bousai-gensai-suibou02.html

防災ログ事務局:南部優子


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