気象災害の基礎知識(3)台風災害と防災気象情報 防災ニュース

2020年8月25日

8月26日 気象災害の第三弾は、台風に関する災害のなかから暴風と高波、高潮に関する情報をお伝えします。これから本格化する台風のシーズンの前にいまいちど確認し、事前の備えと安全な避難ができるようになっておきましょう。台風による大雨に関する情報については「気象災害の基礎知識(1)」を参考にしてください。

 

暴風
台風には影響範囲の大きいものと、風雨の威力が強いものとがあります。コンパクトにみえても威力の強い台風だと、突然天気が崩れて激しい暴風雨になることもあるため、注意が必要です。
台風の強さは風速で表します。
・風速:10分間の平均風速
・瞬間風速:3秒間の平均風速
・最大瞬間風速:3秒間の風速のうちの最大値

風速による影響の目安は、次のようなイメージになります。
・風速10m~(時速~50km):傘がさせない、風に向かってあるきにくい
・風速15m~(時速~70km):風に向かって歩けない、転倒する人もいる。看板や瓦が外れ始める
・風速20m~(時速~110km):根の張っていない木が倒れる、車は通常の速度で運転が困難
・風速30m~(時速~125km):走行中のトラックが横転する
・風速35m~(時速~140km):樹木や電柱、街灯が倒れ始める、建物の外装が飛散する
・風速40m~(時速140km~):木造の住家で倒壊したり、鉄骨建築物で変形したりする

※詳細は、気象庁「風の強さと吹き方」を参照してください
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.html

高波
台風の中心付近では10mを超えるような高い波も発生します。台風がまだ日本からは遠いところにあっても、高波がうねりとなって日本まで伝わってくることがあります。穏やかな天気のときに海岸に出る高波(いわゆる「土用波」)にも注意が必要です。台風が接近していなくても、波浪警報などが発表されたら海岸には近づかないようにしましょう。

高潮
高潮は、台風や発達した低気圧などに伴い、気圧が下がって海面が吸い上げられたところへ強風で海岸に吹き寄せられて、海面が異常に上昇する現象です。短時間のうちに急激に潮位が上がって、海水が海岸堤防を超えてしまうと一気に浸水します。これに高波も加わると、被害がさらに大きくなります。台風は、暴風に激しい雨を伴っています。高潮になってから避難するのは困難ですから、あらかじめ台風情報や高潮警報を確認し、早めに避難することが重要です。

台風による暴風と高潮に関する防災気象情報
台風が接近すると、数日前から気象庁が台風情報を詳細に発表しはじめます。台風の接近にともなって数時間ごとに暴風や高潮に関する警報・注意報が発表されます。

暴風や高潮の場合も、大雨や土砂災害と同様、黄色「注意」赤「警戒」紫「危険」黒「災害発生」というレベルで危険情報が統一されています。

(気象庁 高潮に関する防災気象情報を活用した避難行動について)

自宅や職場が沿岸にあるなど、危険なエリアにいる場合は、早めに自治体のハザードマップで高潮の浸水想定区域などの危険な箇所をチェックしておきましょう。高潮注意報が発表されたら予想最高潮位を確認し、命の危険がある場合は早めに立ち退き避難を行ってください。

注意してほしいのは、紫の「避難勧告」と「避難指示(緊急)」の2つについて、安全に避難できるのは「避難勧告」のときだという点です。「避難指示(緊急)」の場合は、もうすでに災害が発生していても不思議ではない状態になっているため、特に高潮が発生する台風の場合、強風と大雨で早い段階から外に出て移動することができなくなっている可能性が高いため、台風情報が発表された段階で、危険な地域にいる方は避難を考える必要があります。

※8月21日に避難情報のあり方を検討する内閣府の作業部会で、レベル4に混在している「避難勧告」と「避難指示」を一本化し、よりわかりやすくする案がとりまとめられています。今後の動きにも注目が必要です。

国土交通省 ハザードマップポータル
https://disaportal.gsi.go.jp/

気象庁 気象警報・注意報
https://www.jma.go.jp/jp/warn/

気象庁 潮位観測情報
https://www.jma.go.jp/jp/choi/

 

防災ログ事務局:南部優子


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