9月1日は「防災の日」 災害時伝言板&ローリングストックで備えを見直そう

2020年9月1日

9月1日 さまざまな自然災害を受けてきた日本。防災のココロを忘れないようにと、9月1日を「防災の日」に定め、前後の1週間(8月30日から9月5日まで)を「防災週間」としています。なぜ防災の日が9月1日かというと、この日は、明治以降もっとも人的被害の大きい「関東大震災」の発生した日だからです。

関東大震災は、1923(大正12)年9月1日、正午の2分前に発生し、いまの東京都と神奈川県を中心に大規模な被害をもたらしました。ちょうどお昼時だったところへ、能登半島あたりを北上する台風の影響で強い風が吹きこんだことが重なり、大規模な延焼火災が発生して10万5000人あまりが犠牲となったのです。火災による焼失のほか、揺れによる倒壊、液状化による地盤沈下、土砂災害も多く、鉄道事故による大規模な死者もありました。沿岸部では高さ10m以上の津波も発生しました。

9月は台風もたくさん襲来するため、風水害に気を取られがちですが、地震は季節に関係なく発生し、大きな被害をもたらします。「防災の日」をきっかけにして、さまざまな災害に対する意識をもって、心構えや備蓄などのそなえをしていきましょう。

たとえば、身近なそなえとして「連絡手段の確保」と「備蓄の整備」だけでも、この機会にやってみてはいかがでしょうか。

■いざというときの通信手段は「災害時伝言サービス」を活用

職場の連絡手段はある程度きまっていても、家族や親戚などとの連絡手段はとくにないという人も多いと思います。普段ならストレスなくやっていけるでしょうが、災害時には重要な災害対応機関の通信環境を守るために一般の人たちが利用する通信回線を制限する通信規制が行われ、極端に環境が悪くなります。

このような通信環境下で消息を入れておけるのが「災害時伝言サービス」です。固定電話や携帯電話から「171(いない)」へ電話し、被災者が消息を残しておくと、全国からその音声を聞いて確認できるというしくみです。インターネット経由で登録できるWEBサービスもあります。

大規模な災害が発生したときに設定されるのですが、いざというときに使えるよう、試すことができる日が設けられています。「防災週間」はお試し期間のひとつです。(そのほか、毎月1、15日、正月三が日、阪神・淡路大震災ゆかりの「防災とボランティア週間」にも体験ができます)

■備蓄の整備は「ローリングストック」方式で効果的に

大規模な災害が発生すると、ライフラインが止まってしまうだけでなく、被災地への輸送ルートも途絶えます。災害発生直後は救命・救助が最優先とされてしまうため、物資が入ってこなくなり、お店の棚から商品が消えてしまいます。そこで、最低で3日間、最悪を想定した大規模災害だと7日間の備蓄をもっておき、うまく管理していく必要があります。

ところがこの備蓄がクセモノで、長期保存できるものが多いため、いちど備蓄を確保したら何年もそのままになってしまうことも少なくありません。いざというときに賞味期限切れとならないよう、物資の備蓄は「ローリングストック」方式で準備することをおすすめします。ローリングストックは、ふだんから食料や日用品を、(1) 防災を意識してちょっと多めにストックしておく、(2) 先に買ったほうから使っていき、使った分だけ買い足していく という、循環型の備蓄法です。食べながら、あるいは使いながら補充していくため、期限切れのまま放っておくリスクを減らすことができます。

今年は新型コロナウイルスの感染症拡大にともなう「ステイホーム」の影響もあり、この備蓄方法のよさが再確認されています。たくさんのメーカーが、缶詰や瓶詰め、レトルトなどさまざまな形状の備蓄の方法や使い方の例を挙げ、いざというときの備蓄の重要性を訴えています。たとえは年に1度、防災の日にあわせて在庫の種類や備蓄数をチェックして災害への意識を高め、こまかな確認や補充はローリングストックの考え方で普段から途切れず備蓄を確保する、という流れにするのもおすすめです。

身近なところから、無理なく、少しずつ進めていきましょう。

防災ログ事務局:南部優子