東海豪雨から20年 都市型水害からまなぶ教訓 防災ニュース

2020年9月18日

9月18日 いまからちょうど20年前の2000年9月11日から12日にかけて発生した東海豪雨は、名古屋市を中心に大きな被害を起こし、高度に情報化する都市部での大規模水害として多くの教訓を残しました。

東海豪雨は、本州に秋雨前線が停滞し、沖縄に台風があった影響で、雨雲が次々に加わって記録的な大雨となりました。集中豪雨により、名古屋市の新川で100mもの堤防決壊が起きたのをはじめ、愛知県内で10か所以上の河川被害や内水はん濫が発生しました。また、愛知県と岐阜県、長野県に接する山間部では土石流などの土砂災害も発生し、たくさんの孤立集落が出ました。

大都市を襲った東海豪雨の被害は、家屋の浸水などの住家被害が大きくなったことが特徴です。愛知県を中心に、浸水被害は6万棟を超えました。また、豪雨のピークが夕方から夜にかけての時間帯で、帰宅ラッシュと重なったため、交通などの混乱をまねき、大量の帰宅困難者が発生しました。

この東海豪雨の少し前あたりから、インターネットを活用した災害情報の発信が行われるようになっていました。当時のインターネットによる災害情報発信はボランティア団体や個人からのものが先行していましたが、国や県、市のホームページも整備されつつあり、災害発生から数日後には次々と被害や対応の状況を知らせるホームページが開設されました。

2000年というと、インターネット利用状況が前年度比74%増(2001年版情報通信白書)という急激な伸びをみせていたときで、特に個人では携帯電話からのアクセスが利用を押し上げ、一気に普及していたときです。情報の収集先がテレビやラジオだけでなくインターネットもあたりまえになろうとしていたころでしたが、この災害ではホームページ開設の速度や内容の充実度にまだ差があり、データの更新が遅れたことを問題視する報道も出たりしています。

東海豪雨から20年のあいだに、災害に関する情報発信は飛躍的に伸びました。災害発生後の情報だけでなく、事前のハザード情報や直前の予測情報も含め、いまでは身を守るためのさまざまな情報が整備され、国や自治体から発信されています。

これからも集中豪雨や地震などの自然災害は、東海豪雨のときと同じように大きな被害をもたらす驚異としてやってきます。ハード対策では完全に防ぎきれないものも多いでしょう。そのとき、いのちを守り、生き延びるツールとして重要になるのが情報です。いつ、どのような情報をとって活かすとよいのかを、平常時に見直していつでも動けるようにしておきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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