コロナ禍だからこそ、訓練で防災対策の見直しを 防災ニュース

2020年9月28日

9月28日 9月は防災月間です。明治以降もっとも人的被害の大きかった関東大震災が9月1日に発生したことを受けて定められました。防災への意識を高めるため、全国各地で防災訓練や関連イベントが行われています。

とはいうものの、今年は新型コロナウイルス感染症の流行により、人が集まる防災訓練は「三密」だからとあきらめてしまい、規模を縮小したり実施を見合わせたりするところも多くみられます。これはたいへん残念なことです。コロナ禍だからといって自然が待ってくれるわけではありません。ウイルス流行の収束が数年先におよぶ可能性もある今こそ、感染症対策を織り込んだ防災訓練に挑戦し、ふだんの行動の見直しを図りましょう。

たとえば、リモートワーク中に災害が発生したと想定し、オンライン上で情報共有する「オンライン訓練」を企画するのもよいでしょう。三密を回避するための最少人数での本部立ち上げとモバイル通信・非常電源を使ったアクセスで、情報共有の環境を確認することもできます。

屋外で徒歩による移動を行い、実況中継することにより遠隔で現場の状況確認に慣れておくこともできるでしょうし、安否確認や周囲の被害状況を各自の所在地から送らせ、地図にまとめてプロットしていく図上訓練もできそうです。自宅でのリモートワークが中心の社員に対しては、自宅が被災したときでも仕事の継続ができるのか、自宅の災害対策や備蓄整備などができているか確認してもらう訓練を織り込むことも重要です。

災害が発生すると交通機関も停止し、通信環境も悪くなります。互いの場所で何が起きているのか、ほとんど共有ができません。被害情報を集める際には「情報が上がってこないところほど被害が大きいと心得よ」とさえ言われています。コロナ禍で人が集まって話すことができない状況は、災害と同じように不自由な状況になっていると考え、緊急に連絡をとりあう方法や遠隔での役割分担などを確認しておくとよいでしょう。

オンライン訓練のポイントは、訓練後にふりかえりの時間をつくり、感想や改良点などを話しあうことです。オンラインはオン・オフがはっきりしているため、ボタンを押して退出した瞬間、日常の世界に戻ってしまいます。体験したことを何人かで共有し、余韻をつくる時間がないと訓練の効果が半減します。プログラムを組み立てるときは、参加者がひとことでも話をし、意見交換できる時間をつくりましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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