大雨想定のハザードマップの公表は59% 難航する避難所確保 防災ニュース

2020年10月26日

10月26日 共同通信が今月12日に発表した調査によると、全国の市区町村で作成している洪水ハザードマップのうち、「千年に1度」のような大規模の大雨を想定したものは59%どまりであることが明らかとなりました。これは、2019年3月時点の国土交通省の集計に比べると26ポイント上昇していますが、大規模災害を想定した対策はまだ道半ばであることが伺えます。

洪水ハザードマップは、国や都道府県が作成する浸水の想定区域や水深などの予測データをベースに、市区町村が避難ルートを検討したり、避難所、一時的な緊急避難場所などを指定したりして、地図を作成し、公表することになっています。2020年8月からは、不動産業者に対し、住宅の購入や賃貸物件はハザードマップを使って位置を示すよう義務付けられています。

ハザードマップに用いる水害の想定については、以前は数十年から100年に1度の雨だったのですが、2015年の水防法改正で千年に1度と、めったに起きない甚大な被害に変更されたという経緯があります。この変更に伴い、都道府県による被害想定の見直しが行われ、現在では概ね完了に向かっているところです。

多くの市区町村が都道府県の被害想定に基づいてハザードマップを作成するのですが、その検討に時間がかかっています。千年に1度というめったに起きない災害だと被害の規模が甚大になるため、浸水想定区域が広がりすぎて、安全な区域の選定が困難になってしまう場合もあり、浸水想定を基にした避難ルートや安全な避難所の確保が進まないことも一因になっています。

ちょうど1年前に襲来した東日本台風をはじめ、毎年のように大規模な水害が発生する今、ハザードマップであらかじめリスクを確認しておくことは何より重要な事前対策です。ただ、千年に1度の被害想定は、極端に大きなリスクであった場合の参考程度であるとも言えます。毎年のように全国で起きる水害は、数十年に1度の規模のものが圧倒的に多いことも事実。頻度の低い想定があるかどうかに振り回されていては本末転倒です。

ハザードマップはあくまでも、リスクの高い場所の予測にすぎません。どの程度の頻度で予測された想定なのかを把握しておくことで、そのリスクの起きやすさと規模の目安にできるはず。大切なのは、実際に起きそうになった状況の時に、現実の状況と重ね合わせて避難などの対応を的確にできるかどうかです。

数十年に1度のハザードマップでも、災害発生の起きやすそうな場所、回避したいルートなど、避難行動の目安として十分活用できます。今一度、自宅や勤務先など、身近に関係する市区町村の公表するハザードマップの想定内容を確かめてみましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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