来たる大型災害に備えて大幅組織改編 気象庁 防災ニュース

2020年11月15日

11月15日 大規模な自然災害が相次ぐ中、災害対応力強化を図るため、気象庁はこれまでにない規模での組織再編を行いました。2020年10月から施行されています。気象庁の組織改編の主なポイントは次のようなもので、より専門的に、また情報処理部門の重要度の高まりも踏まえ、業務内容から組織のありかたを見直しています。

【気象防災監の新設】
気象予報や地震、火山など、専門家集団を代表し、現場の危機感を官邸に伝えて政府内での調整にあたる「気象防災監」が新設されました。気象防災監は、長官に次ぎ、次長と並ぶ、いわば「ナンバー2」にあたる局長級のポストです。専門知識を生かし、官邸や関係府省の幹部らと政策の調整を行い、官邸の災害対策会議などにも出席して省庁横断的な課題に的確に対応し、政府の意思決定を早める支援を行います。

【情報基盤部の新設】
ビッグデータなどの情報を活用し予測モデルの開発を行ってきた部門をひとつに集め、「情報基盤部」を新設し、予測精度の向上を図る技術開発体制を構築します。また、気象情報・データの流通や利活用の促進も図ります。

【大気海洋部の新設】
これまでの「予報部」「観測部」「地球環境・海洋部」を統合し、「大気海洋部」を新設します。台風や大雨、高潮、大雪、猛暑といった気象リスクへ対応するため、短期的な台風や大雨などに関する防災気象情報だけでなく、長期的な季節予報や気候変動の予測、高潮や海面上昇などの海洋情報までを一体的に提供していきます。

天気予報や台風情報などでおなじみの予報官がいる「予報部」が、今回の組織改編に伴い、名称を失った形になりました。気象に関連する情報が、予報や観測といった部門別でなく、より大きな視野で一元的に扱われるようになります。

もうひとつ、廃止されたものの中に注目したい組織があります。地震予知情報課です。地震予知情報課は、1970年代後半に前身の地震予知情報室が設置されてから40年近くにわたり、東海地震の監視を行っていましたが、地震の予知は難しく、事前予知を前提とする災害対応方針が3年ほど前から変更されていることを受けての廃止となりました。

気象庁は、11月から12月にかけて本庁舎も移転し、組織も拠点も一新することになります。これからは「防災」と「情報」をキーワードに掲げ、局地に集中しあるいは同時多発で広域化する激甚災害に対し、これまでにない体制で災害対応力を強化する一歩を踏み出しました。

防災ログ事務局:南部優子


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