2020年の災害は「不確実」な状況との向き合い方を教えてくれた 防災ニュース

2020年12月25日

12月25日 2020年は、年明けから拡大を始めた新型コロナウイルス感染症に振り回された1年でした。今年の漢字に選ばれたのは「蜜」でしたが、2位以下にもずらりと関連する文字が並び、大半を占める結果となりました。

(公益財団法人日本漢字能力検定協会 2020年「今年の漢字®」トップ20 より)

いまも全世界で深刻な影響が広がり続けていますが、自然災害はウイルスを考慮してくれません。2020年は、災害が発生するたび、避難所の運営方法など待ったなしの状態でこれまでの対策の見直さなければならず、手探りの取り組みが進みました。

内閣府 防災情報のページで把握された災害状況をもとに、2020年に発生した主な災害を振り返ってみましょう。

■3月13日 石川県能登地方の地震
最大震度5強。軽傷者1名。ライフライン・交通については大きな被害はありませんでした。

■7月3日~7月31日 令和2年7月豪雨
死者・行方不明者86名、重軽傷者67名、住家被害1万6,326棟
過去最長の29日間にわたる長雨で、青森県から鹿児島県まで広い範囲で被害が発生。九州地方を中心に大雨特別警報が発表されました。各地で避難勧告や避難指示が発令され、被害が広がるなか、感染症対策をしながらの避難所開設や避難者受入のあり方についての試行錯誤が続きました。8月25日には激甚災害の指定が閣議決定されました。

■9月5日~7日 台風第10号
死者・行方不明者11名、重軽傷者111名、住家被害894棟
大型で非常に強い台風で、過去最大の大雨・暴風・高波・高潮となる恐れがあり、「台風の特別警報」クラスの威力があると予測されました。このため、日本に接近する4日も前から繰り返し警戒を呼びかける異例の事態となりました。実際には予想より勢力が落ちた状態で接近したこともあって特別警報の発表は見送られましたが、それでも非常に強い台風として各地に被害をもたらしました。

■10月7日~12日 台風第14号
重軽傷者2名。日本列島に接近した後南下した台風で、三宅村と御蔵島村に大雨特別警報が発令されました。東京都島しょ部を中心に、被害が発生しました。

■12月16日~21日 大雪被害
死者6名、軽傷者62名。各地で倒木などによる孤立が相次ぎ、ライフラインの被害が発生しました。高速道路で千台以上の車両の立ち往生が発生し、自衛隊に対して災害派遣要請が出されました。

2020年は、巨大な地震発生はなかったものの、7月の長雨、8月の猛暑、9月の台風と、極端な気象状況に振り回された1年でした。そこへ追い打ちをかけるようにウイルス感染により先の読めない状態が重なりました。

災害は予測ができないため、何を正解として動いてよいのかわからないものですが、今年のウイルス感染のような先の見通しがたたない状況が重なると、さらにこれまでの備えが通用しなくなり、社会的な不安が大きくなります。

2020年の災害は、今まで以上に不確実な状況でのリスク対応について考えさせられるものとなりました。これからも厳しい条件が重なり、難しい判断に迫られる事態が起きるかもしれません。正しい状況の把握と適切な行動への心構えをたしかなものとするため、しっかりと情報のアンテナを張って、いつでも判断ができるよう備えましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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