女性の視点から災害対策を考えよう【国際女性デー】 コラム

2020年3月11日

3月11日 3月8日は「国際女性デー」。今年のイベントはコロナウイルス対応によりオンラインで行われました。国際女性デーは、1904年のこの日に米国のニューヨークで婦人参政権を求めるデモが行われたことが起源となっており、イタリアではこの日に女性へ愛や幸福の象徴とされるミモザの花を贈る習慣があるようです。女性の日というと、5月第2日曜の母の日同様、女性への感謝や愛を伝えることをイメージしがちですが、この機会にぜひ、災害時に置かれる状況という視点をもてるようになってほしいと思います。

実は、大きな災害が発生すると、女性や子どもが暴力被害を受けるリスクが大きくなります。東日本大震災が発生した折の避難所運営について「東日本大震災女性支援ネットワーク」が2014年5月に公表した報告書によると、暴力被害を受けたり目撃したりした事例は82。そのうち16件は災害発生直後の3月中に起きています。災害時には、さまざまな暴力や犯罪などによる被害が潜在化するといわれています。停電により周囲が暗くなる、建物が崩れて死角になる場所が増える、災害に対する不安や怒り、恐怖心などが弱者へ向かう。被害を訴えても「命が助かっただけまし」「わがままだ」と言われてしまいかねず、泣き寝入りし抱え込んでしまうケースも多くみられます。

企業の災害対応も例外ではありません。非常時には、個人のモラルや心構えに訴えてもうまく行かないことが多くなります。平常時からの組織運営のひずみが均衡を失って噴出し、組織の存在を脅かすほどになることもあるでしょう。いちばん重要なのは、ふだんの活動から女性の割合を増やし、多様な視点でしくみを回しておくことです。女性の目から見た被災の状況については、東日本大震災女性支援ネットワークがまとめた災害支援事例集や災害対策テキストなど、いろいろ出ています。ぜひ一読して、大規模災害の備えに死角がないかチェックしてみましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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