1月の災害:阪神・淡路大震災 地震対策の転換となった災害 防災ニュース

2021年1月13日

2021年、また新しい年を迎えました。災害の少ない、穏やかな1年になることを切に祈ります。

今から26年前の1995(平成7)年、松の内があけて間もない1月17日に起きた大規模地震があります。阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)です。午前5時46分、まだ夜が明けきらない暗闇の中で突然襲った巨大地震は、神戸と淡路島を中心にマグニチュード7.3を観測し、神戸市で震度7になりました。初の最大レベルでした。この地震による被害は、死者6,434名、行方不明者3名、負傷者43,792名。住家全壊約10万5,000棟、半壊約14万4,000棟に上り、ライフラインや交通機関も停止。空襲が起きたのかと思わせる状況に、都市部での巨大地震がいかに大きな被害を発生させるのかを世に知らしめた震災でした。

阪神・淡路大震災による被災状況とその後の対応については、内閣府中央防災会議をはじめ、多くの調査プロジェクトや検討会が立ち上がり、教訓から学び、対策が検討されました。主なものを上げてみましょう。

<予防対策>
・亡くなった原因の8割以上が圧迫死(家屋や家具に押しつぶされた)
・消防車が入らないような木造の老朽住宅が密集したところで炎症火災が発生し被害が拡大
・建物倒壊などの被害は建築基準法改正前のものが多く、1981年を境として大きな差が生じた
・道路橋の耐震は1980年以前に建設されたものに大きな被害が生じた

<応急対策>
・官邸への連絡をはじめ、国全体の初動体制・情報連絡に遅れ
・被害情報の集約が進まず、初動対応に活用できる被害の集約・想起評価システムが必要
・地方公共団体の相互応援のシステムが作動しなかった
・道路や鉄道・港湾の被害が大きく、人や物資の緊急輸送に著しい支障
・物資の受け入れ体制が整わず混乱
・被災地の医療機能が低下し、負傷者の搬送活動が不十分(陸・空)
・ボランティアの活動が初めて認識されたが受け入れが不十分

<復旧・復興>
・要配慮者の生活再建、小規模経営の企業・商店の経営再建に困難が生じた

このような教訓をふまえ、それまで台風による災害対策を中心としていた災害対策を大きく見直されました。例えば、次のようなものがこの地震後に始められています。
・地震の長期評価、地震動予測地図の発表
・自動的に震度を推定する計測震度の導入、全国の自治体への計測震度計の整備
・建築物の耐震性能強化に関する法律の整備、建築基準法の耐震基準の改訂
・被災建築物の応急危険度判定、罹災証明のための住家の被害認定調査の体制整備
・ボランティア活動促進のため、特定非営利活動団体の法人化(NPO法人の制定)

国や自治体も地震対策の制度や体制を見直しました。地域防災計画に地震編をつくり、対応を強化したのもこの地震がきっかけでした。さらに、地元の消防など行政だけでは到底対応しきれない現実をふまえ、地域コミュニティや企業などの支え合い、ボランティアなども大きく見直されるようになりました。

日本列島は地理的特性もあって、常にどこかで自身が発生します。次の巨大地震がいつどこを襲うかわかりません。年頭の1月、地震対策を見直すきっかけとして、この阪神・淡路大震災の教訓をふりかえり、対策の棚卸をしてみてはいかがでしょうか。

防災ログ事務局:南部優子


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