大雪をもたらしたJPCZ(日本海寒帯気団収束帯) あと1カ月は要注意 防災ニュース

2021年1月13日

厳しい寒さと数年に一度という大雪が続いています。正月明けの7日から8日にかけ、急速に発達した低気圧が日本を通貨し、その後日本の上空に強い寒気が流れ込んで冬型の気圧配置が11日まで続きました。これに伴い、強風と大雪が日本列島の各地を襲いました。

秋田県八森では7日に最大瞬間風速42.4m/s、最大風速28.1m/sと、観測史上1位の強風となりました。また7日から11日にかけ、北日本から西日本の日本海側を中心に大雪となり、新潟県高田で9日に24時間降雪量103cmと、観測史上1位の記録を更新しています。積雪の深さは、新潟県上越市で最大3mを超え、石川県輪島市、富山県氷見市、鳥取県境港市など、平年の7倍以上になる地点も観測されています。

今回の雪の影響で、北陸自動車道では福井県内で1000台を超える自動車が立ち往生しました。東海北陸自動車道の富山県内や国道8号線の新潟県内でも、200台から250台の自動車が滞留し、福井県、富山県、新潟県が自衛隊に災害派遣要請を発出する事態となっています。13日現在の消防庁のまとめによりますと、今回の大雪により死者15名、重軽傷者310名、住家被害258棟と大きな被害になりました。その他にも、各地の山間部で倒木や積雪により孤立する集落が発生しています。

今回の大雪の原因は、北陸地方を中心に日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)という、雪を呼ぶ気流のラインが生じたことにあります。

JPCZは、朝鮮半島北部の山脈で二分された大陸の寒気が比較的暖かな対馬海流の上で合流することにより大量の水蒸気をまきこんで帯状の雲が発生し、寒気と相まって発達した雪雲になって日本海側に流れ込んでくる現象です。

成り立ちは異なりますが、大雨をもたらせる線状降水帯の雪版、といったイメージでしょうか。短時間で一気に雪を降らせるため、雪対応に慣れているはずの地域でも処理が追いつかず、今回のような交通の乱れを生じさせたり、除雪ができなくなるほどの降雪や積雪になって建物の倒壊など深刻な被害が発生する恐れもあります。

寒気が強いと内陸部や太平洋側にまで影響を与えます。向こう1カ月は降雪しやすい状態が続きます。積もった雪はたいへん重く、寒さもあって体力を奪います。数日は困難が続くと思いますが、どうか十分気を付けながら、次の雪に備えてお過ごしください。

防災ログ事務局:南部優子


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