洪水と土砂災害の予報が民間でも可能に? 気象庁が有識者会議で検討開始 防災ニュース

2021年1月25日

1月25日 気象庁は、国や都道府県にしか認められていない洪水と土砂災害の予報を、研究機関や民間事業者に許可するかどうかの検討を始めました。これは、国土交通省の気象庁と水管理・国土保全局が始めた「洪水及び土砂災害の予報のあり方に関する検討会」で、年明け早々の1月6日に第1回の検討会が開催されました。

洪水と土砂災害の予報は、これまで国と都道府県のみが情報提供してきています。近年、社会の技術の進展や頻発化・激甚化する災害の状況により、民間や研究機関でもさまざまな研究がなされ、洪水や土砂災害の予測に関する知見や技術も積み重ねられてきています。このような産学の最新技術を活用し、より精度の高い予測情報が提供され、多様な社会のニーズに対応していけるよう、情報提供のあり方に関して検討されることになりました。

気象業務法第17条では、「気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならない」とされ、科学的な根拠に基づかない予報をだすことで市民に悪影響を及ぼさないよう許可制度を設けています。これまで技術の進展に応じて、天気予報のような業務は順次民間へも対象を拡充してきています。

一方、洪水と土砂災害については、防災との関係が深く、また気象条件だけでなく地理的な条件にも影響されて技術的に予報が難しいため、現在まで民間や研究機関への許可はされていません。

今回の検討は、社会への混乱を招かず適切な防災行動につながるための予測情報はどのように提供すべきか、またそのための官民の役割分担や技術の高度化をどう進めるかなどを検討し、予報業務の許可について、基準や内容、提供方法などを検討しようというものです。気象庁では、今年度中に検討し2021年4月までに報告書をまとめるとしています。

防災ログ事務局:南部優子


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