大規模災害時にスマホ連携で通信 政府実証・調査へ 防災ニュース

2021年2月1日

2月1日 内閣府は、大規模な災害で通信が途絶した地域の情報通信網をいちはやく立て直すための新しいシステムの運用を検討しています。今年3月からは、衛星通信とスマートフォンのアドホック通信を融合させる研究開発成果を活用し、スマートフォンのアプリや相互の通信機能を連携させたリレー形式での通信を行う実証などを行い、被災地でインフラ機能が制限される中での情報システムの実行可能性に関する調査を行います。

今回の実証・調査は「みちびき」という日本の準天頂衛星の測位システム(日本版GPS)を活用して行われます。みちびきは、2018年11月から衛星4機体制で運用を始めました。2024年度には7機体制まで配備が計画されています。「みちびき」により高精度の測位を行うことが可能となるため、さまざまなビジネスへの展開が期待されています。

内閣府では、「みちびき」を使った衛星安否確認サービス(Q-ANPI)の試験的導入を行ってきました。災害時の避難所の状態(開設状況や避難者数)だけでなく、避難所で収集した安否情報、避難所への救助・支援情報など、詳細な情報も通信できるシステムですが、大規模な被災で携帯電話の基地局が被災するなど通信が途絶したときの情報収集が課題となっていました。

この課題を解決するため、基地局を介さずスマートフォン同士でデータをやりとりするブルートゥース機能を使った「リレー」で安否情報を中継していくしくみを新たにつくって実証していきます。

また、避難所と自治体や国の機関とのやりとりだけでなく、災害時に被災者が集中する病院や孤立しやすい施設などQ-ANPIの利用が期待される施設でも実証を行うよう、実証・調査を共同して行う機関や団体を募集しています。実証・調査は今年3月から開始し、6年間実施される予定です。

防災ログ事務局:南部優子


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