猛烈な勢力の台風2号、4月では観測史上最強 防災ニュース

2021年4月19日

4月19日 台風2号が発生し、過去に類を見ない勢力に発達しています。4月18日(日)の中心気圧は気象庁の解析で895ヘクトパスカル、米軍の解析では888ヘクトパスカル。4月の事典で800台の台風が発生したのは、観測史上初めてのことです。

台風2号は、温帯低気圧が日本のはるか南の会場で発生し、ゆっくりと発達して16日(金)に台風となりました。その後急速に勢力を増やし、翌日には非常に強い勢力となり、さらにその夜には猛烈な勢力となりました。フィリピン近海をゆっくりと北上し、数日とどまる見込みで、周辺地域では強風、大雨、最大12m級の高波が予測されています。23日(金)には暴風域を保ったまま、沖縄の南へと近づいてくる予測となっています。台風の進路しだいでは、沖縄などへ直接的な影響を与える可能性もあります。今後の台風の動きに注意が必要です。

台風は一般的に夏から秋にかけて最も活発となります。4月30日までの春の時期に発生した台風のうちこれまでに中心気圧が最も下がったのは2015年の台風4号で、910ヘクトパスカルでした。800台まで下がった台風は今回が初めて。年間を通してみても800台まで下がる台風はあまり数がありません。1951年以降の70年間で40未満と、2年に1度程度です。

このような大型台風が発生している要因としては2つの理由が考えられます。ひとつは高い海水温。台風2号は30度近い高い海水温の上で発達しました。海水は表面だけでなく、比較的深い層でも温度が高くなっています。もうひとつは「マッデンジュリアン振動(MJO)」と呼ばれる現象です。マッデンジュリアン振動は、赤道付近の上空で活発な対流が起きるエリア(大気循環場)で、振動のように繰り返し発生するものです。インド洋から赤道にそって東に進み、1か月から2か月かけて地球を一周します。この雲の影響により次々と渦を巻いた雲が発生しています。

マッデンジュリアン振動はエルニーニョ現象(太平洋赤道域頭部の海水温が上昇する現象)の開始や終了にも関与しているといわれ、偏西風やジェット気流の異常、ブロッキングなどを通じ、いわゆる異常気象と呼ばれる天候の間接的な要因のひとつでもあります。

4月に台風の話というと気の早いことだと思われるかもしれませんが、南の海上ではすでに大型台風の誕生が始まっています。近年の気象状況を考えると、今年の台風も大型化など、深刻な被害を与えるものが多くなる恐れもあります。

災害への備えに早すぎるということはありません。現在台風の予測は5日前から発表されるようになっています。台風の進路を変更することはできませんが、進路を予測して被害を最小限に押さえることはできます。こまめにチェックし、備えておきましょう。

(画像出典:気象庁 台風経路図(2021年4月18日21時現在)

防災ログ事務局:南部優子


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