【4月の災害】熊本地震(1) 28時間差で襲った巨大な揺れ 防災ニュース

2021年4月21日

4月21日 4月に発生した巨大地震として記憶に新しいのは、5年前に起きた熊本地震です。熊本地震は、2016年4月14日以降に熊本県・大分県を襲った一連の地震を指します。

熊本地震のいちばんの特徴が、何度も続いた大きな揺れです。気象庁によると、最大の震度階級である震度7を観測したのが4月14日と16日の2回。たてつづけに発生しました。それ以外にも震度6強が2回、震度6弱が4回、震度5強が5回、震度5弱が14回と、大きな余震が続きました。2年後までに発生した最大震度1以上の有感地震は4,297回。震度計による観測が始まった1996年4月以来最も多くなりました。

熊本地震で一番大きかった震度7の地震は、1回目が14日21時26分(マグニチュード6.5)、2回目が16日1時25分(マグニチュード7.3)に発生しました。わずか28時間の間に最大階級の揺れが同じ場所を襲ったのです。しかも、後から起きた地震のほうがマグニチュード(規模)の大きな地震で、1回目が前震、2回目が本震と認定されました。本震が後からきた地震も、初めての経験でした。

異例の地震活動により、気象庁が発表する防災情報のひとつである余震の発生確率は「過去の例があてあまらない」と発表をとりやめたほど、規模と頻度の予測がつかない内陸地震となりました。

一連の地震による被害は揺れによるものが多く、死亡した50名のうち、家屋倒壊によるのが37名、土砂災害が10名、火災が1名、塀の下敷きになったのが1名と、圧死が7割を超えました。さらに、相次ぐ揺れを警戒して建物内での避難をためらい、テントや車中泊を続ける被災者も多くいました。エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)で初の死者が出るなど、災害関連死と呼ばれる死亡者が218名と、直接死の4倍以上になりました。

「来たるべき地震対策を」と呼びかけるときには、南海トラフ地震のような津波を伴う海溝型の広域・巨大地震をイメージしがちです。しかし、直下型地震には、生活基盤がある地表の直下、ごく浅いところでピンポイントに発生するため、地表へ揺れがダイレクトに響くため被害が大きくなる恐ろしさがあります。海溝のプレートにエネルギーがたまってくると内陸の断層の動きも活発になり、大きな直下型地震が発生しやすくなるといわれています。直下型地震の発生に影響を与えている断層も、発見されていないものが数多く存在します。

いつどこで発生するか、予測がつかないのが地震災害。4月の熊本地震を教訓に、立て続けに大きな揺れがくる場合もイメージしながら、揺れたときの対応を考え、事前の備えを整えておきましょう。

(画像出典:熊本県益城町「平成28年熊本地震 益城町震災記録誌」より)

防災ログ事務局:南部優子


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