コンビニ・スーパー 流通ネットワークも防災インフラに 防災ニュース

2021年4月26日

4月26日 小売流通業の企業戦略は、ふだんは消費者の生活様式や嗜好といったマーケットの中で語られるものですが、近年は災害時のありかたも大きく影響しています。大きなきっかけとなったのは東日本大震災でした。

小売店では食料品や生活必需品が数多く取り扱われています。大規模な災害が発生すると、被災地の店舗も店主も従業員も、周辺の住民と同じように被災します。それでも「お店にあるもので被災地の人たちが助かるなら」と、停電・断水したままでも営業を再開したり、駐車場や配送トラックを改造してみたりと、さまざまな「いのちをつなぐ」拠点として活躍してくれます。

このような被災地支援の「がんばり」は店主や従業員の思いに支えられているため、命を危険にさらす厳しい状況も起きてしまいます。2011年の東日本大震災を教訓とし、大手コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど全国に流通ネットワークをもつところではBCP(事業継続計画)を策定する動きが活発になりました。被災地に対する本部からの物資や移動販売車の提供、スタッフの支援などが行える体制を整え、従業員の防災意識を高める研修や、安全確保のための訓練などを実施するしくみが整いつつあります。

2016年に起きた熊本地震ではこの備えが効果を発揮し、早期再開や代替措置での支援が比較的円滑に進んだといいます。2017年には、主要な小売流通チェーンが災害対策基本法に基づく「指定公共機関」となりました。指定公共機関は、災害発生時に国の要請に応じて緊急対応を行うことが指定されている法人で、これまでには電気、ガス、通信、運輸などのインフラ企業が中心でした。小売業では初めてです。指定公共機関になると、災害発生時に国が指定する緊急輸送道路を通行できる「緊急通行車両」の登録ができるほか、国の省庁や都道府県などが情報共有に使っている中央防災無線網を活用できるため、すばやく情報を収集し、行動に移せるようになります。

都道府県と協定を結んで帰宅困難者を支援する「災害時帰宅支援ステーション」として登録されているところもあります。次のようなマークをみたことはないでしょうか。2005年に関西(2府5県3政令市)と関東(八都県市)から始まったのですが、現在では全国に広まっています。


(画像出典:内閣府防災 自治体との災害時帰宅困難者支援協定)
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/torikumi/tsh22004.html

身近なお店が地域を支えています。街を歩く時にはぜひまわりを観察して、災害時にどのようなお店が活躍してくれそうかを確かめてみてください。

防災ログ事務局:南部優子


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