地震による洪水災害 安政5年飛越大地震 防災ニュース

2021年4月27日

4月27日 4月に起きた災害で、大規模地震の後土石流や洪水の災害が発生し、今もなお影響を与え続けている事例があります。安政5年の飛越地震(富山県)です。飛越地震は、安政5年(1858)年4月9日(旧暦2月26日)、跡津川断層の活動による内陸地震で、マグニチュードでいうと7、震度6程度あったといわれています。この地震は、常願寺川上流の立山カルデラで「鳶(とんび)崩れ/大鳶崩れ」と呼ばれる大崩壊を引き起こしました。崩壊した土砂が上流の湯川や真川をせき止め、湖のような大きな水たまりをつくりました。

地震の発生から14日した4月23日(旧暦3月10日)、再び起こった地震によってせき止めていた土砂が崩れ、一気に下流へと流れ込みました。泥流にまじって巨岩・巨石もなだれ込みました。民家や宿坊が巻き込まれ、田畑が土砂に流されて、死者150名、流出家屋1600棟あまり、900近くの土蔵被害など、大きな被害が発生しました。

この影響はその後も続きます。6月7日(旧暦6月7日)には再び大規模な土石流が下流を襲い、堤防が破壊して一気に富山平野にまで流れ出しました。被害を最小限に抑えようと警戒して避難を行っていたにもかかわらず、加賀藩領内だけでも140名の死者、9千人近い負傷者、おびただしい数の家屋被害となったといいます。

飛越地震をきっかけに、常願寺川は大量の土砂によって周囲より河床が高くなる天井川となり、洪水や土砂災害が年ごとに激しくなりました。明治期の45年間に41回もの洪水を引き起こしたとされています。今でも立山カルデラ内には土砂が残っていて、常願寺川へ流出し続けています。


(画像出典:国土交通省 常願寺川の主な災害より 治水見聞録[所蔵:富山県立図書館])

防災ログ事務局:南部優子


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