国土交通省、約20年ぶりに広域道路交通計画を見直し 防災ニュース

2021年5月10日

5月10日 国土交通省と自治体が、およそ20年ぶりに広域道路網を見直します。
高規格道路(高規格幹線道路・地域高規格道路)の整備が終盤に近づき、それ以外の広域道路網を含めた再編が望まれる中、1998年にまとめられた「広域道路整備基本計画」が見直されました。これまでの環境変化を踏まえた今後20~30年の中長期的な展望をもとに、全国各ブロックが新しい「広域道路交通計画」を策定し、広域道路網の充実を図ります。

広域道路網は、主要都市や物流拠点を結ぶ幹線道路のネットワークを指し、高規格幹線道路や直轄国道など主要な道路がつながっています。平常時の物流だけでなく災害時の緊急輸送にとっても、安全な通行を確保するための機能を強化した交通基盤となっています。

幹線道路ネットワークの整備は、今から55年前の1966年、国土開発幹線自動車道建設法の制定から始まりました。全国の各地域から概ね2時間以内で到達できるよう自動車道の建設が進みます。その後、1987年の第4次全国総合開発の策定に伴い、高速自動車国道と一般国道の自動車専用道路が「高規格幹線道路」として位置づけられ、地方中核・中核都市、地方都市とその周辺が概ね1時間程度で行き来できるネットワークが整備されました。さらに、1994年には広域道路整備計画を策定(1998年に見直し)。高規格幹線道路を補完する「地域高規格道路」の指定が行われ、地域の発展や連携を支える道路網が計画されています。

1995年の阪神・淡路大震災を受け、高規格道路(高規格幹線道路、地域高規格道路)の運用に変化が起きます。震災の翌1996年には、「緊急輸送道路」として、地震発生直後から救助救援などの応急活動のための緊急車両を確実に通行させる重要な路線と位置づけられ、「緊急輸送道路ネットワーク計画」が策定されました。現在、高規格幹線道路の延長は、高速自動車国道が約11.5km、一般国道の自動車専用道路が約2.5km。合計1万4000kmの道路網が整備されています。

1998年に見直された「広域道路整備計画」から約20年、道路の役割や技術革新など、社会状況も環境も大きく変わっています。今回改めて見直されている「広域道路交通計画」により、広域道路ネットワークは、平常時も災害時も安定的に車の通行(物流・人流)を確保するための総合交通体系の基盤として位置づけられました。

具体的には、次の3つの方向で検討が進められ、新広域道路交通ビジョンと新広域道路交通計画が策定されています。
・国土強靭化や経済の要請へ対応できる交通や防災の拠点の整備
・総合交通体系の基盤としての各交通機関との連携の強化
・ICT(情報通信技術)や自動運転などの技術の進展へ対応し交通マネジメントの整備

2020年度末までに、国土交通省の地方整備局(北海道・東北・関東・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州・沖縄)による地方ブロック版と、都道府県と政令市による都道府県版がまとめました。今後は、新しい計画のもと全国の広域交通体系が総合的に整備されていきます。

画像出典:国土交通省 道路についての定義・用語「高規格道路とは何ですか?」より
https://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_01b_03.html

防災ログ事務局:南部優子


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