九州、近畿、中部東海の各地で大雨 今後も十分な警戒を 防災ニュース

2021年5月24日

5月21日 5月20日から21日にかけて梅雨前線が活発になり、西日本・東日本の各地で大雨となりました。いったんはおさまりましたが、雨は断続的に続いています。長野県では22日12:00時点まで土砂災害警戒情報(警戒レベル3)が発表されていた地域もあり、16:30時点でも注意レベルは残っていて、十分な警戒が必要です。

気象庁によると、梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、20日から21日にかけて日本列島が大雨となりました。24時間雨量が九州、四国、東海、長野県など、5月の雨量としては統計を取り始めてから最も多くなったところもあります。
・長野県(御嶽山)289.5mm
・熊本県(五木村)251.5mm
・岐阜県(揖斐川町)195.5mm
・大阪府(大阪市)192mm

大雨になった5月20日は、ちょうど「避難情報」が変更されたタイミングでした。2019年に導入された「大雨警戒レベル(色分けレベル)」と避難情報の結びつきがわかりやすくなるよう、これまで発表されていた避難勧告が廃止されるなど、市町村からの避難の呼びかけの名称が改良されたのです。

大きく変わったポイントは、レベル3(赤)の「避難準備・高齢者等避難開始」が「高齢者等避難」に、レベル4(紫)の「避難勧告・避難指示(緊急)」が「避難指示」に改められました。さらに、レベル5(黒)の情報には特に名称がなかったのですが、今回から「緊急安全確保」と名前がつきました。黒レベルは、すでに災害が起こっている可能性が高いタイミングのため、場所を移動しての避難が間に合わないおそれがあることから、緊急的に身を守る待避の行動をとるよう促すものです。避難の原則は「レベル4(紫)までに逃げ終えること」です。

(画像出典:NHK 避難情報の変更と大雨警戒レベル)

 

これから本格的な梅雨に入ります。昨年の梅雨は後半の7月、およそ1カ月間の長雨となり、青森県から鹿児島県に至る広い範囲に影響を及ぼしました。「令和2年7月豪雨」と名付けられた気象災害です。最終的には死者・行方不明者86名、重軽傷者1,316名、住家被害1万6,326棟と大規模な被害となりました。

近年の気象災害は、毎年どこかが大きな被害に見舞われています。今年の梅雨がどのような降り方になるのかはわかりませんが、「次は自分のところかもしれない」という気持ちで備えておきましょう。

避難情報は、市町村から出されます。近年の防災情報は「空振りを恐れない」方針で発表されます。自宅や職場などの詳細な立地状況をみているわけではありませんから、場合によっては情報が出たときにはすでに危険が迫って来ている可能性もあります。避難情報が出てから行動を判断するのでなく、先に自分から情報をとって自分にあったタイミングを決めておきましょう。

まず把握しておきたいのはハザードマップです。近年の浸水被害・土砂災害の多くがハザードマップで示されている想定区域の中で起きています。さらには、ハザードマップで把握したリスクにあわせて避難方法を検討しておきましょう。例えば、もし浸水想定区域内に自宅や職場があったなら、実際に起きたときにどうやって命を守るのか、避難のタイミングや方法などを考え、準備しておく必要があります。これらの事前の検討と、実際の気象情報の動きを組み合わせて判断することが重要なのです。

みなさんの自宅や職場はどうでしょうか。浸水想定区域や土砂災害警戒区域など、ハザードマップから危険を読み取り、準備していますか? また実際に風雨が迫ったとき、どのような気象情報が発表されているかをアプリなどでチェックし、異変がないか周囲に気を配っていますか?突然起きる地震災害と異なり、気象災害は事前準備と情報の正しい活用で最悪の事態は避けることができます。被害が少なければそれだけ早く日常生活や通常の事業へと復帰することができます。水害に備えた事業継続(BCP)の観点から、今一度、大雨対策の再検討をおすすめします。

表紙画像出典:tenki.jp 天気トピックス 2021年5月19日17:00、21日07:40

防災ログ事務局:南部優子


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