新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法 コラム

2017年5月30日

5月30日

福岡大学 工学部 建築学科 教授
高山 峯夫

国土交通省は16日、「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」公表した。

平成28年4月に発生した熊本地震においては、旧耐震基準による建築物に加え、新耐震基準の在来軸組構法の木造住宅のうち、接合部等の規定が明確化された平成12年以前に建築されたものについても、倒壊等の被害が見られました。

このため、国土交通省としては、既存の木造住宅について、平成12年以前のものを中心に、リフォーム等の機会をとらえ、同年に明確化した仕様に照らして、接合部等の状況を確認することを推奨することとし、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づく耐震改修支援センターとして指定した(一財)日本建築防災協会に対し、効率的な確認方法の検討を依頼していたところです。

今般、同協会において、新耐震基準の在来軸組構法の木造住宅について接合部等を確認することで効率的に耐震性を検証する方法として、「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(新耐震木造住宅検証法)」がとりまとめられ、同協会ホームページにおいて公開されましたので、お知らせします。

 

対象となる住宅は、新耐震基準(昭和56年6月以降)のうち、在来軸組工法(基礎がコンクリート造のもの)、昭和56年6月~平成12年5月に建築されたもの、平屋または2階建てのもの、となっている。

この検証では、所有者等による検証(PDF)があり、これでOKなら「耐震性あり」と判断し、NGなら専門家による検証を求めることになっている。所有者等による検証では、住宅の平面形状、接合部の金物の確認、壁の配置バランスなどを確認することになっている。ただ、接合部金物の確認をするためには内外装を取り外す必要があり、リフォームなどをするときにしか検証できそうにない。

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こうした検証法を広く周知することで、居住者がリフォームをするときに耐震性の確認につながることは期待できそうだ。リフォーム業者や工務店などが、耐震性の確認まで行いやすくなるかもしれない。まずはこうした専門家への啓発も必要だろう。

いずれにしても、新耐震基準であっても耐震性が不足している住宅があるということを認めたことになる。木造住宅が対象だが、RC造などはどうするのだろうか・・・


福岡大学 工学部 建築学科 教授
高山 峯夫
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