【国際女性デー】女性の視点から災害対策を考えよう 防災ニュース

2024年3月5日

<3月5日投稿>国際婦人年である1975年に提唱、1977年の国連総会で議決された国際女性の日は3月8日。1904年のこの日に米国のニューヨークで婦人参政権を求めるデモが行われたことが起源とされています。この日は「ミモザの日」とも呼ばれ、黄色いミモザの花が愛や幸福の象徴となっているため、この時期によく目にしているかもしれません(もともとはオジギソウの学名だったのですが、現在は黄色のアカシアをミモザと呼ぶようになっています)。

女性の日というと、5月第2日曜の母の日同様、女性への感謝や愛を伝えることをイメージしがちですが、この機会にぜひ、災害時に置かれる状況という視点をもてるようになってほしいところです。

大きな災害が発生すると、女性や子どもが暴力被害を受けるリスクが大きくなります。東日本大震災が発生した折の避難所運営について「東日本大震災女性支援ネットワーク」が2014年5月に公表した報告書によると、暴力被害を受けたり目撃したりした事例は82。そのうち16件は災害発生直後の3月中に起きています。その後の熊本地震や、今年の能登半島地震でも、同様の事象がいくつも報告されています。

災害時はさまざまな暴力や犯罪などによる被害が見えないところで広がります。停電により周囲が暗くなる、建物が崩れて死角になる場所が増える、災害に対する不安や怒り、恐怖心などが弱者へ向かう。被害を訴えても「命が助かっただけまし」「わがままだ」と言われてしまいかねず、泣き寝入りし抱え込んでしまうケースも多くみられます。

企業の災害対応も例外ではありません。非常時には、個人のモラルや心構えに訴えてもうまく行かないことが多くなります。平常時からの組織運営のひずみが均衡を失って噴出し、組織の存在を脅かすほどになることもあるでしょう。いちばん重要なのは、ふだんの活動から女性の割合を増やし、多様な視点でしくみを回しておくことです。

女性の目から見た被災の状況については、内閣府男女共同参画局が「災害対応力を強化する女性の視点」というポータルページを立ち上げており、教材や事例集、実災害での対応状況、関連法や国際会議の状況、調査研究などをまとめて紹介しています。特に、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインや、実践的学習プログラムは、行政に限らず、あらゆる組織にとって、考え方を鍛えるヒントが多く含まれています。ぜひ一読して、大規模災害の備えに死角がないかチェックしましょう。

参考:
内閣府男女共同参画局
災害対応力を強化する女性の視点
https://www.gender.go.jp/policy/saigai/index.html
災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~
https://www.gender.go.jp/policy/saigai/fukkou/guideline.html
「災害対応力を強化する女性の視点」実践的学習プログラム
https://www.gender.go.jp/policy/saigai/program/index.html

東日本大震災女性支援ネットワーク
『こんな支援が欲しかった!〜現場に学ぶ、女性と多様なニーズに配慮した災害支援事例集』
http://gdrr.org/2014/05/149/
『男女共同参画の視点で実践する災害対策 テキスト 災害とジェンダー<基礎編>』
http://gdrr.org/2014/05/153/

防災ログ事務局:南部優子


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