静岡県熱海で土石流 いまなお不明者多数 防災ニュース

2021年7月6日

7月6日 長雨が大きな土砂災害をもたらしました。7月3日午前10時半ごろ、静岡県熱海市で土石流が発生、海岸部まで約2kmにわたって大量の土砂が流出し、7月5日午後4時の時点で少なくとも130棟の建物が流され、4人の死亡が確認されました。

熱海市の発表によると、別荘利用者も多いことから安否不明の正確な人数は把握が難しく、住民基本台帳の登録をもとに確認を急いでいます。静岡県は5日、被災地域に住宅などをもっている人やその家族に、安否情報を熱海市に寄せてほしいと呼びかけました。

命が助かったものの、自宅が流されるなどして避難する人たちは500人を超えています。市は小中学校の体育館など10箇所に避難所を設けていましたが、感染症対策もあって5日からは市内2箇所のホテルの協力を得て避難所先としました。職員や医師・保健師などの巡回体勢も強化し、避難者支援にあたるとしています。

今回、土石流が発生した現場は、短時間に集中して大雨が降ったものではなく、長い時間降り続いた雨が土の中にたまっていった「長雨蓄積型」でした。気象庁によると、熱海市で雨が降り出したのは6月30日の午後6時で、その後強まったり弱まったりしながら降り続きました。1時間に30mm以上の激しい雨は観測されていませんが、土石流が発生する前の7月3日午前10時までには総雨量が389mmと、平年の7月の雨量の1.5倍にまで達する記録的な雨量になっていました。

雨量が多かったため、熱海市は土石流が発生する1日前の7月2日午前10時に、警戒レベル3の「高齢者等避難」を発表しています。また、気象台と静岡県は2日午後0時半に、警戒レベル4の「土砂災害警戒情報」を発表し、土砂災害の危険性が非常に高まり、避難が必要なレベルになっているとしていました。

自治体からの「避難指示」が発表されなかったのは、長雨による雨量の蓄積のため、指示を発表するタイミングの判断が難しかったのではないかと考えられます。市が避難情報をだしたのは、土石流が発生した後の3日の午前11時5分、レベル5の「緊急安全確保」でした。レベル5は災害がすでに発生しているなど命にかかわる切迫した状態で発表されるもので、緊急的な待避行動などをとることが求められるものです。

今回土砂災害が発生したような地形・地質、降雨状況などの条件は、全国どこでも可能性があります。梅雨前線はまだ活発です。これからも雨が強まる可能性もあり、十分に警戒が必要です。

土砂災害は、いつどこで発生するか予測できず、前兆もわかりにくいものです。そして、一度発生すると数分で大量の土砂が流れてくるおそれもあり、逃げる余裕がありません。身の回りに斜面があるところにいる人は、自治体からの避難情報だけでなく、気象庁が発表する気象情報や土砂災害情報を確認し、自分のエリアに「紫」がついたら、避難指示が出ていなくても危険が高まっていると考え、早めの避難を心がけてください。

画像出典:NHKニュースより土石流が発生したとみられる上流付近 静岡県が7月3日夕方撮影

防災ログ事務局:南部優子


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