北海道~千葉108市町村が特別強化地域に 日本海溝・千島海溝の地震 防災ニュース

2022年10月31日

10月31日 北海道から千葉県にかかる沖合に横たわる日本海溝と千島海溝では、マグニチュード9クラスの地震や大津波が想定されています。この巨大災害に備えるため5月に交付されていた特別強化の特措法の改正(正式名称:日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案)を踏まえ、地震防災対策推進地域が追加指定され、272市町村に倍増しました。また、新たに108の沿岸市町村が「津波避難対策特別強化地域」に指定されています。

日本海溝・千島海溝の特措法は、北海道から千葉県にかけての太平洋側で甚大な被害が想定される大津波への対応を強化することを柱とした議員立法です。日本海溝・千島海溝の地震では、マグニチュード9クラスの巨大地震の揺れと大津波により、最大で20万人近くの死者が発生すると想定されています。

特別強化推進地域は、以下の基準をもとに指定されます。前回の指定(117市町村)から、栃木県・茨城県・千葉県などが加わって、272市町村と2倍以上に増加しました。
・震度6弱以上の地域
・津波高3m以上で海岸堤防が低い地域
・防災体制の確保状況や過去の被災履歴

画像出典:内閣府防災 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策 地震防災対策推進地域・津波避難対策特別強化地域 地図より


 
津波避難対策特別地域は、以下の基準をもとに指定されます。
・津波により30cm以上の浸水が地震発生から40分以内に生じる地域
(積雪寒冷地以外の地域は30分以内;茨城県以南)
・特別強化地域の候補市町村に挟まれた沿岸市町村
・同一同県内の津波避難対策の一体性の確保

画像出典:内閣府防災 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策 地震防災対策推進地域・津波避難対策特別強化地域 地図より


 
今回の法改正により、津波被害が甚大と想定される地域は、「特別強化地域」に指定され、避難施設や避難用道路の整備に関する国の補助率が2分の1から3分の2に引き上げられました。また、寒冷地のため救出されても低体温症で死亡する危険性があり、特別強化地域では、積雪や寒さなどへの配慮も新たに明記されました。

参考:防災 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策のページ
https://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/index.html

【特別措置法(特措法)】
大規模災害となることが想定される事象については、災害事象別に特措法が制定されています。
自然災害に対しては、災害全般への対策の基本方針を描く「災害対策基本法」のもと、個別の大規模・緊急の事象を想定した特措法が制定されます。日本海溝・千島海溝の特措法以外では、以下のようなものがあります。
・地震防災対策特別措置法(平成7年、平成28年改正)
・大規模地震対策特別措置法(昭和53年、平成30年改正)
・南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年、平成30年改正)
・首都直下地震対策特別措置法(平成25年、平成30年改正)
・活動火山対策特別措置法(昭和48年、平成27年改正)
・豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年、平成27年改正)
このほか、原子力災害対策に関するものやテロ対策に関するものなどもあります。

これらの特措法では、災害の範囲や地域などを指定したり、交付金や国庫補助率のかさ上げ、規制の特例などにより事前対策の推進を図ったり、緊急の事態が発生した場合に中枢機能を維持するための緊急措置を講じる対策計画を立てたりしています。

防災ログ事務局:南部優子


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