国交省防災・減災対策本部 企業も住民も参画する「流域治水」へ転換 コラム
2020年7月15日
7月15日 国土交通省は7月6日、防災・減災対策本部の本部会議を開催し、大規模地震・噴火や豪雨・台風などの自然災害に備えるための総合的な対策を発表しました。本部会議では、官民が協同して水災害に取り組む「流水治水」への転換など、甚大化・頻発化する水災害に対する大幅な取り組みの強化がうたわれました。
防災・減災対策本部は、毎年のように発生し、甚大な被害を出す自然災害に対し、地震災害・風水害・火山災害などあらゆる災害へ総合的に取り組み、国土交通省として総力を上げて防災・減災対策を打ち出そうとするものです。「南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策本部」と「水災害に関する防災・減災対策本部」を発展的に統合するかたちで2020年1月に設置され、プロジェクトがスタートしました。
今回はその第2回の本部会議が開催されたもので、検討したプロジェクトの成果取りまとめが行われました。本部会議では、現在7月3日から続く令和2年7月豪雨の渦中にあることから、主な被害に関する状況が共有された後、激甚化・頻発化する水災害、切迫化する地震災害といった国土の状況や、近年の自然災害からの教訓・反省点が整理されたほか、新型コロナウイルス感染症のもとでの防災・減災の必要性についても取り上げられました。
対策の基本方針としては、「防災・減災」が主流となる社会に向けて、国民目線を強化し、危機意識を高めて、国や自治体、企業、住民が連携して取り組むことがうたわれています。
また、主要な対策の筆頭には、水災害に対する「流域治水」への転換が挙げられました。
これは、気候変動により増大する水災害リスクへの対策について、これまでの河川管理者(国や自治体)だけでなく、企業や住民も含めた河川の流域すべての関係者が主体的に取り組むようにしていくものです。甚大な被害が発生した7水系に対する緊急治水対策プロジェクトのほか、全国の一級水系でも、流域全体で取り組むべき流域治水プロジェクトを2020年度内に策定することになっています。
その他、本部会議で発表されたのは次のような項目、87施策が発表されました。
・気候変動の影響を反映した治水計画等への見直し
・防災・減災のためのすまい方や土地利用の推進
・災害発生時における人流・物流コントロール
・交通・物流の機能確保のための事前対策
・安全・安心な避難のための事前の備え
・インフラ老朽化対策や地域防災力の強化
・新技術の活用による防災・減災の高度化・迅速化
・わかりやすい情報発信の推進
・行政・事業者・国民の活動や取組への防災・減災視点の定着
防災ログ事務局:南部優子