【7月の地震】ビジネスへの影響拡大が教訓となった新潟県中越沖地震 コラム
2020年7月21日
7月21日 まだ梅雨前線の影響が残り、水害への警戒が解けない中ですが、7月に大きな地震災害が発生したことがあります。新潟県中越沖地震です。
2007年7月16日10時13分、新潟県中越沖で地震が発生しました。マグニチュードは6.8、最大震度6強の揺れでした。柏崎沿岸では1mの津波も発生しています。この地震により直接死11名、災害関連死4名、負傷者2300名以上、全壊1300棟以上の被害が発生しました。その日はちょうど海の日の祝日で午前中に発生したこともあり、比較的人的被害が少なかったといえます。
この地震には、大きくわけて3つの特徴があります。
1つめは、日本海側のプレート境界で発生した地震であることです。この地震の3年前の2003年10月23日には新潟県中越地震(マグニチュード6.8)が、また4か月前の2007年3月25日には能登半島沖地震(マグニチュード6.9)が発生し、続いていた時期でもありました。地震というと、東北沖や南海トラフといった大きなものが太平洋側のプレート境界で発生しやすいというイメージがありますが、日本海側にもプレート境界があり、大きな地震があることを再認識することになりました。
2つめは、柏崎刈羽原子力発電所の火災事故です。幸い重要な建屋に大きな被害はなかったのですが、国内で初めての地震による原発被害で、しかも立地していた柏崎沿岸では津波も発生していました。当時の小さな事故をもう少しだけ想定を広げて検証し、次への教訓として活かしていれば4年後の東日本大震災までにできることがあったのかもしれません。
地震は発生した被災地の特徴により、被害の様相は異なってきます。このため、復旧対策や事前の対策も個別に評価しがちですが、「もし同様の状態が最悪の大きさでやってきたら」という意識で、自分たちの置かれている現状を見直すことが大切です。
3つめは、サプライチェーンの被災による影響があきらかになったことです。この地震でリケン柏崎工場が被災し、自動車のエンジンの部品(ピストンリング)が生産を停止しました。この影響で日本国内すべての自動車メーカー8社すべてに影響が出たのです。これをきっかけに、企業のBCP(事業継続)の考え方が大きく取り上げられるようになり、事前対策の重要性が認識されるようになりました。耐震補強をしていて建屋そのものは無事でも、内部の設備の固定が不十分だったりライフラインが途絶したりすることにより、機能が止まってしまうと大きな影響が出ることが教訓となりました。
今このときに、同じような地震がこの場所で起こったら・・・
実際に起こった災害事例を参考にイメージしてみて、少しずつでも対策を実行していきましょう。
防災ログ事務局:南部優子