令和元年9月は大きな台風が集中した 「令和元年房総半島台風」 コラム
2020年9月4日
9月4日 「二百十日(にひゃくとおか)」という言葉、聞いたことありますか?
立春から数えて210日目、だいたい9月1日ごろを指します。ちょうどこのあたりは台風が多くなり、実りつつある稲に甚大な被害がでたり、シケで漁に出ることができなくなったりすることから「厄日」として警戒されています。同じような雑節で「二百二十日(にひゃくはつか)」、9月の中旬ごろも戒められてきました。風を鎮めるための「風祭り」も各地で行われます。富山の「おわら風の盆」は特に有名です。
昨年の9月は、例年以上に台風の被害が大きくなりました。記録的な被害が発生した台風として42年ぶりに名前がついたほどです。そのひとつが「令和元年房総半島台風」です。房総半島台風は、2019年9月7日から9日の週末にやってきて、千葉県などの関東地方南部を中心に大きな被害をもたらしました。
特にひどかったのが暴風です。千葉市で最大瞬間風速57.5m/sを観測したのですが、時速にすると207km/hと、新幹線並みの勢力でした。最大級の暴風により停電が長期化したところへ残暑が重なり、熱中症による被害が深刻になりました。
また、房総半島台風はこれほどの暴風だったにもかかわらず、発生時に気象庁が「コンパクト」と表現したほど暴風域が小さかったことや、土日の週末に接近し、休み明けの月曜の明け方に上陸したことで企業の状況判断が追いつかず、通勤などに大混乱をもたらしたことも特徴でした。
そのほかにも、房総半島台風では次のような様々な影響が問題となりました。
・県と市町村との連携不足で非常用発電機が活用されなかった
・破損した屋根が配電盤や架線を傷つけ、電力復帰後にショートして通電火災が相次いだ
・残暑が厳しい中大量の災害ごみが発生し、処分に手間取った
・破損した屋根にかけるブルーシートやシートをかける職人が不足し、応急処置が進まなかった
・少しでも早く修理したい心理をついた修理詐欺が横行した
・翌週に台風17号が接近し、応急補修で防ぎきれずに大量の雨が吹き込み、カビが大量発生した
房総半島台風からまもなく1年。今年も気温や海水温が高く、台風が大型化するのではないかと言われています。今一度、昨年の状況を思い出して我が家や職場の現状をみなおし、台風被害から命と経済を守る備えをしておきましょう。
防災ログ事務局:南部優子