障害者(児)に配慮した避難所運営に関する状況調査 防災ニュース

2021年5月20日

5月20日 大阪府下の市町村を対象に、障害者(児)へ配慮した避難所の整備に関するアンケート調査が公表されました。今回の調査は2012年から6回実施されているものですが、今回はコロナ禍での避難所運営という側面からの設問として感染症対応と避難所運営の関係に関する調査が行われました。

【障害者(児)に対応するための備品・資材の整備(複数回答)】については、アレルギー対応非常食、透明マスク・筆記用ボード等の準備を進めているところが多く、次いで通路確保や誘導のための資材を確保している自治体が多くなりました。以下順に、人工呼吸器などのケアに必要な電源の確保、インスリン自己注射が可能な空間の確保、ヘルプマーク、ストーマ交換対応トイレ、絵カードなどの案内、段差解消・乗降支援資材、高さ可変のテーブルと続きました。アレルギー対応の非常食を整備したとの回答が多かったのは、アルファ化米を使用した非常食が準備されるようになってきていることが伺えます。

【避難所運営マニュアル】については、6割強の自治体が改定済/改定作業中と回答。その他の自治体でも多くが何らかの関連するマニュアルの中で感染症対策を検討している結果となりました。しかし、一方で避難行動要支援者への感染予防対応を踏まえたマニュアルの整備はまだ今後の課題となっているところが多いことがわかりました。

【避難所の「密」を避けるための対応(複数回答)】としては、在宅避難を推奨する(9割以上)、民間施設などへの分散避難を推奨する(8割以上)が圧倒的に多く、福祉避難スペースは4割強にとどまる回答となりました。

【避難所の定員】については、見直した/見直し中と回答した割合が約6割、見直すか検討中と回答した割合が4割弱で、ほとんどの自治体が避難所レイアウトを見直し、定員を変更する方向であることが明らかとなりました。

【民間保有施設の活用】については、すでに検討を進めているところ/今後検討する方向の自治体が6割以上にのぼりました。活用先はホテルや旅館が多く、協定を締結するなどの取り組みを進めている自治体もある一方、「適切な施設がない」「災害により避難者の想定が変わる」「関係者との調整が必要」などの理由で具体的な避難先の確保や優先避難者の選定、避難者数の把握などには課題も残されているようすが伺えました。

コロナ禍での避難のあり方については、昨年の夏に豪雨災害を踏まえて少しずつ教訓やその後の実践事例などが集まりつつあるところですが、まだ手探りの状態だといえます。要配慮者への対応も、まだ明確に有効とされる具体的な対策方法が見つかっているわけではありません。

避難所を開設するのは市区町村ですが、中で避難生活を送るのは私たち自身です。要配慮者への対応準備も感染症対策も、まず自分たちで対処できることを考えつつ、地域で開催される訓練などの機会を活用し、近所や市区町村と何をどのようにカバーしあっていくか、話し合っておくことをおすすめします。

障害者にとっての防災課題検討会「新型コロナウイルス感染症への対応を加味した障害児者等に配慮した避難所運営に関する状況調査」
https://osaka-srk.xtr.jp/wp/wp-content/uploads/2021/04/2020bousai.pdf


(画像出典:障害者にとっての防災課題検討会「新型コロナウイルス感染症への対応を加味した障害児者等に配慮した避難所運営に関する状況調査」より、障害児者に対応するための備品・資機材の整備)

防災ログ事務局:南部優子


関連ニュース